第3回相続対策コラム 相続登記の義務化について

先日、日本経済新聞の記事で「相続登記の義務化」について大きく報道され話題となりました。
当事務所は、不動産相続に特化した総合法律事務所(弁護士・司法書士)として札幌で活動しているところ、相続登記の義務化についての動きは注視してきました。今回のコラムでは、相続登記の義務化について解説したいと思います。

そもそも「相続登記」とは何か?

相続登記とは、相続を原因として不動産の所有者が変わった際に行う不動産の名義変更手続きのことをいいます。不動産の所有者は、法務局という役所にて、不動産登記簿という記録簿に自分が不動産の所有者であることを記録してもらうことができます。この登記簿は不動産の権利関係を明確にし安全で円滑な取引を行うためにできた制度です。いわゆる土地権利証とよばれるものは、実はこの登記をしましたよという証明書(現在は、登記識別情報という通知書が作成されます)のことを指します。

土地や家などの不動産を相続によって取得した場合も、当然、不動産登記簿に名義変更(相続登記)してもらうことができます。しかし、現行の法律では、登記を申請することは、相続した人の権利であって義務ではないとされています。

このことから、相続登記をしないで放置する人も一定数存在し、結果、複数回の相続が発生してしまい、所有者不明の土地の増加という社会問題が起きています。

なぜ相続登記をしないと所有者不明の土地が増えるのか?

相続登記をしなかった場合、登記簿に記録された所有者は亡くなっているので登記簿だけを見ても現在の所有者はわかりません。登記簿上の所有者が亡くなっているなら、その相続人を探せば良いのでは?と思われる方もいるかもしれません。

しかし、相続が開始すると、基本的に相続財産は相続人全員の共有財産となるので、亡くなられた方の相続人が複数いる場合には、相続人全員を探しだす必要があります。

また、共有者の一人も亡くなってその共有持分がさらに相続された(数次相続)などの場合は、
相続の代が進むにつれて相続人の数が指数関数的に増加してしまいます。最終的に全員を見つけ出したとしても、共有財産となっている以上その共有者全員で合意し手続きをする必要がありますが、あまりに共有者の数が増えると、相続人同士が疎遠・遠方に住んでいる・費用がかかり過ぎるなどの理由で、手続きが進まず、さらに放置され、また共有者が増えていくということがあるのです。

現在、不動産登記簿などにより調査してもなお所有者が判明しない、または判明しても所有者に連絡がつかない私有地は、全国で約20%、約410万ヘクタールもの面積に及ぶとも言われています。これは九州全土の面積約367万ヘクタールを大きく上回る面積です。

相続登記の義務化

このような所有者不明の土地が増加し社会問題化していることから法制審議会では、
被相続人が亡くなった際に相続登記の申請を義務付ける。
手続きを簡素化する代わりに、一定期間のうちに登記しなければ罰則を設けることを検討する。
としているのです。

今後、相続登記が義務化となるかどうかは、遺産分割の関係でも動向に注意していく必要があります。

 

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