column

相続コラム

第209回相続コラム 空き家を相続して売却した場合の3000万円特別控除

親が亡くなり、実家を相続したものの、自分はすでに別の場所に住んでいて、誰も住む予定がない——そんな状況に直面している方は少なくないのではないでしょうか。特に、札幌や北海道では、高齢化や人口の移動にともない、地方の実家が「空き家」として残されるケースが年々増えています。「とりあえず相続はしたけれど、これからどうすればいいのか」と頭を抱えている方も多いかもしれません。

空き家を放置すると、固定資産税の負担が続くだけでなく、建物の老朽化や近隣への影響など、さまざまな問題が生じる可能性があります。そこで多くの方が検討するのが「売却」という選択肢です。しかし、不動産を売却すると譲渡所得税がかかることがあり、「せっかく売っても税金でかなり持っていかれるのでは……」と不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、空き家を相続して売却した場合に利用できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除(いわゆる3000万円特別控除)」について、その内容や要件、注意点などをわかりやすく解説します。税制上の優遇措置を正しく理解し、賢く活用していただくための参考にしていただければ幸いです。

空き家売却にかかる「譲渡所得税」とは

不動産を売るとなぜ税金がかかるのか

不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、その利益に対して所得税・住民税が課されます。これを「譲渡所得税」と呼ぶことがあります。相続した不動産の場合、売却価格から「取得費(もともとの購入費用など)」と「譲渡費用(仲介手数料など)」を差し引いた金額が譲渡所得となります。

相続した実家は、もともと親が何十年も前に購入したものであることが多く、取得費が低く抑えられていたり、長期間の減価償却によって帳簿上の価値が下がっていたりするケースが少なくありません。その結果、売却価格との差額が大きくなり、多額の譲渡所得が発生してしまう可能性があります。場合によっては、売却益の20〜39%程度(所有期間や所得の状況によって異なります)が税金として課されることも考えられます。

相続した不動産特有の注意点

相続した不動産の取得費は、被相続人(亡くなった方)が取得した時の価格を引き継ぐのが原則です。そのため、何十年も前に低い価格で購入した不動産を売却すると、現在の市場価格との差が大きくなり、思いのほか高い税負担が生じることがあります。また、取得した当時の売買契約書などが手元に残っていない場合、取得費を売却価格の5%として計算せざるを得ないケースもあり、さらに課税額が増える可能性があります。こうした点からも、税制上の特例をうまく活用することが重要になってきます。

3000万円特別控除の制度概要

どのような制度なのか

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」は、一定の要件を満たす空き家を相続して売却した場合に、譲渡所得から最大3000万円を控除できるという制度です。2016年(平成28年)度の税制改正で創設され、その後も要件の改正が行われながら現在も活用できる制度です(適用期限は2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象とされています)。

たとえば、相続した実家を4000万円で売却し、譲渡所得が2500万円だったとします。この特別控除を適用できれば、課税対象となる譲渡所得をゼロにできる可能性があります。税負担が大幅に軽減されることから、空き家を売却する際には必ず確認しておきたい制度といえるでしょう。

主な適用要件

この特別控除を受けるためには、いくつかの重要な要件を満たす必要があります。主な要件は以下のとおりです。

  • 被相続人が一人で住んでいた住宅であること(老人ホームなどへの入居前の自宅が対象となる場合もあります)
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物であること(旧耐震基準の建物が対象)
  • 相続開始直前に被相続人以外が居住していなかったこと
  • 相続後、売却するまでの間に居住・貸付・事業の用途に使用していないこと
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 売却時に一定の耐震基準を満たす状態にするか、建物を取り壊して更地にすること(2024年(令和6年)1月1日以降の売却については、買主が一定の期限内に耐震改修または除却を行う場合も対象となるよう要件が緩和されました)
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

これらの要件はすべてを同時に満たす必要があり、一つでも欠けると特別控除が受けられない可能性があります。ご自身の状況がすべての要件を満たすかどうか、専門家に確認することをお勧めします。

制度を利用する上での注意点とリスク

見落としやすいポイント

この制度を活用しようとする際に、特に注意が必要な点をいくつかご紹介します。

まず、「3年以内の売却」という期限は非常に重要です。相続後に遺産分割でもめていたり、建物の整理や片付けに時間がかかったりしているうちに、気づけば期限が迫っていた、というケースも少なくありません。相続が発生した時点で早めに売却の可能性を検討し始めることが大切です。

次に、建物の状態に関する要件も見落とされがちです。旧耐震基準(1981年5月31日以前建築)の建物であることが前提ですが、売却時には耐震改修を行うか、建物を取り壊して更地にする必要があります(ただし前述の令和6年以降の改正により一部緩和あり)。解体費用が数十万〜百万円以上かかることもあるため、売却コスト全体を見越した計画が必要です。

また、相続人が複数いる場合、特別控除の3000万円は相続人の人数で按分されることがあります(令和6年1月1日以降の売却については、相続人が3人以上の場合は一人あたり2000万円に上限が変わるなどの改正があります)。相続人全員で協力して手続きを進める必要があることも覚えておきましょう。

手続き面での対応

特別控除を受けるためには、確定申告が必要です。売却した翌年の確定申告期間(通常2月16日〜3月15日)に、必要書類を添えて申告を行わなければなりません。必要な書類としては、被相続人居住用家屋等確認書(市区町村が発行)、登記事項証明書、売買契約書の写し、耐震基準適合証明書または建物の除却が確認できる書類などが挙げられます。これらの書類を事前に準備しておかないと、申告期限に間に合わなくなる可能性もありますので、早めに動き出すことをお勧めします。

相続と不動産売却は弁護士・専門家への相談が重要

なぜ専門家のサポートが必要なのか

空き家の相続と売却は、相続法・税法・不動産法など複数の分野が絡み合う複雑な問題です。3000万円特別控除は非常に有益な制度ですが、要件が細かく、ご自身の状況に当てはまるかどうかの判断は容易ではありません。「要件を満たしていると思っていたのに、実は対象外だった」というケースも起こりうるため、税理士や弁護士などの専門家に確認することが大切です。

また、相続人が複数いる場合には、不動産をどのように分けるか(売却して代金を分けるのか、一人が取得して他の相続人に代償金を支払うのかなど)という遺産分割の問題も同時に生じることがあります。遺産分割が整わなければ不動産の売却自体ができないため、相続手続き全体を見据えた対応が求められます。このような局面では、相続問題に精通した弁護士のサポートを受けることが、スムーズな解決につながる可能性があります。

北海道・札幌での空き家問題について

札幌市をはじめ北海道各地では、親世代が暮らしていた実家が空き家として残されるケースが増えており、行政としても空き家対策に力を入れています。雪国特有の事情として、冬場のメンテナンスコストがかかること、雪害による建物の損傷リスクがあることなど、本州とは異なる課題もあります。空き家を長期間放置することのリスクは特に高く、早めの対応が重要といえるでしょう。売却を検討される際は、地域の事情をよく知る専門家に相談されることをお勧めします。

おわりに

相続した空き家の売却は、「どうせ売るなら損をしたくない」という気持ちと、「手続きが複雑でどこから手をつければいいかわからない」という不安が入り混じる、悩ましい問題です。3000万円特別控除は、うまく活用できれば大きな節税効果が期待できる制度ですが、要件の確認や期限の管理、書類の準備など、対応すべきことが多岐にわたります。一人で抱え込んでしまうと、気づかないうちに大切な期限を逃してしまうこともあり得ます。

当事務所では、相続に関するご相談を随時受け付けております。一人で悩まずにまずはお気軽にご連絡ください。遺産分割や相続手続き、相続トラブルの解決など、経験豊富な弁護士があなたの状況に合わせた解決策をご提案いたします。

相続・遺言の無料相談実施中!

「遺産分割の問題、相続トラブル、遺言書の作成、成年後見、民事信託など相続、認知症対策などに関わるご相談は、やなだ総合法律事務所にお任せください。

当事務所の弁護士、スタッフが親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
ますは、無料相談をご利用ください。

予約受付専用ダイヤルは011-209-1126になります。

また、メールからの予約受付も行っております。お気軽にご相談下さい。」

相続のご相談は当事務所にお任せください

https://yanada-souzoku.jp/wp2/cases/

よくご覧いただくコンテンツ一覧

よくご相談いただくサービスメニュー

  • 遺産分割の交渉に関する報酬

    争いのある遺産分割の
    協議、調停、審判などの交渉全般を頼みたい

    詳細はこちら
    遺産分割協議

    トラブルを回避し遺産分割したい
    遺言書が残されていない

    詳細はこちら
    遺留分侵害額請求

    遺産を公平に分配してほしい
    遺言の内容に不満がある

    詳細はこちら
    遺産分割の交渉に関する報酬

    相続放棄・限定承認手続き
    預金の使い込み返還請求・遺言無効の訴え

    詳細はこちら
    遺産分割の実現

    相続トラブルを回避して
    円満に遺産分割を終える

    詳細はこちら
    民事信託(認知症対策)

    これまでの制度だけでは
    解決できなかった対策が可能な制度

    詳細はこちら

札幌で遺産相続のご相談は、当事務所にお任せください!

相続や遺言について 無料相談受付中!