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相続コラム

第5回相続コラム 弁護士が語る生命保険を活用した相続対策


何かと苦労する相続対策。今回のコラムでは、生命保険を活用した様々な相続対策を弁護士目線でお届けしたいと思います。

 

生命保険の死亡保険金と相続

死亡保険金は、遺産とは異なり、受取人指定されている場合、受取人の固有の財産となるため、遺産分割協議や遺留分の対象とはならないのが原則です。そのため、生命保険金は、遺産分割等を経ずに、そのまま受取人の財産にできるのがポイントです。

 

代償分割のための原資金としての生命保険

不動産などの分割しにくい財産が遺産に含まれる場合「代償分割」という方法で遺産分割を行うケースがあります。例えば、1人の相続人が実家などの不動産を取得して、他の相続人にはその人の相続分に値するお金を払って清算する分け方です。

この代償分割を行う場合には、不動産等を相続する相続人自身や遺産預貯金で代償金を支払うための十分な資力が必要になります。

不動産を相続する方を受取人として、生命保険金を受け取らせることによって、代償金の原資にすることが可能です。これにより代償分割がスムーズに行うことが可能になり、例えば、引き続き配偶者に持ち家で安心して暮らしてもらいたいなどの希望に沿うことが可能になります。

ただし、遺産に対して、生命保険金の金額の割合があまりに多すぎると、特別受益というものに該当する可能性があり、受取人の相続分が減らされることがありますので、加入する生命保険金額には慎重に検討する必要があります。

 

遺留分侵害請求対策としての生命保険

財産を相続させたくない相続人がいる場合は、他の相続人に財産を相続させるという内容の遺言書の作成が不可欠です。また特定の人にのみ財産を相続させたい場合も同様に、遺言書が必要になります。

しかし、遺言等がなければ本来相続人となるべき人には、最低限度の相続分として、遺留分というものが法律上認められています。本来の相続分はもえらないとしても、遺留分という範囲で自分の財産権を主張(遺留分侵害請求)できるのです。

この遺留分侵害請求をされる可能性を考慮し、財産を相続する方を死亡保険金の受取人にすることによって、万が一遺留分侵害請求された場合の備えにすることができます。

この場合には、遺言書で、特別受益のもち戻し免除をしておくことも重要です。

 

株式の分散防止としての保険金

中小企業の経営者には、自己が経営する会社の株式が遺産における割合が多いという場合もあると思います。そして、株式も当然、遺産分割の対象であり、株式価格が高額だと、一人の相続人に全て相続させる場合、先に挙げた不動産と同様に、代償分割のための原資が必要になったり遺留分の問題が生じたりします。

事業承継の際に株式が分散するのを避けたい場合も、生命保険で株式相当額の買取資金を受け取らせることによって、対策することが可能です。

事業が法人の場合、生命保険の受取人を相続人にするか、会社にするかといった選択肢もあり、会社の事業承継の実情や財務状況等によって選択することが可能です。

また、会社の定款に、株式を相続によって取得した場合の買い取り請求の条項があるか確認し、条項がない場合は、定款変更をしておくべきです。

 

生命保険を活用した相続対策

以上のように、生命保険を活用した相続対策は、死亡保険金の非課税枠の活用((相続税法第12条)500万円×法定相続人の数)だけではなく、様々な相続問題に対し活用することができます。実際に対策する場合、特に事業承継が絡む場合には、会社の財務状況や定款等を併せて確認する必要があるので、専門の弁護士に相談するのが手っ取り早いかと思います。当法律事務所では、相続だけではなく企業法務にも精通した弁護士が所属しているので、お気軽にご相談ください。

 

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