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相続コラム

第188回相続コラム 相続放棄の手続きをする家庭裁判所 – その管轄の調べ方を解説

故人が多額の借金を残して亡くなったケースなどで利用されるのが「相続放棄」です。相続放棄は家庭裁判所で手続きを行う必要がありますが、全国どこの家庭裁判所でもよいというわけではありません。

今回のコラムでは、相続放棄の手続きを行うべき家庭裁判所について、その管轄の調べ方を解説します。

 

相続放棄の基本

相続放棄とは、遺産に対する相続権を一切放棄することをいいます。

相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産を相続しないですむ一方、現金・預金・不動産・有価証券などのプラスの財産も一切相続できなくなります。

相続を放棄する場合には、「わたしは相続を放棄します」と意思表示するだけでは足りず、家庭裁判所で所定の手続きを行う必要があります。具体的には、所轄の家庭裁判所に申述書などを提出する必要があります。提出方法は、直接出向くほか、郵送でも可能です。

また、手続きには期限があり、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなければなりません。相続放棄ができる期間は短いため注意が必要となります。

相続放棄の基本について詳しくは「第49回相続コラム 基本から学ぶ相続放棄とは」をご覧ください。

 

相続放棄と家庭裁判所の管轄

家庭裁判所は全国各地にありますが、どこでも手続きができるわけではありません。裁判所には「管轄」が定められており、原則として「相続が開始した地」を管轄する家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。

家事事件手続法201条
相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

 

「相続が開始した地」とは?

「相続が開始した地」とは、故人が亡くなった時点での「最後の住所地」のことを指します。通常は、故人の住民票(除票)に記載された住所がこれに該当し、その住所が家庭裁判所の管轄を決める基準となります。

例えば、故人の住民票が札幌市にあった場合は、札幌市を管轄する札幌家庭裁判所が相続放棄の申述先となります。

注意点
相続人ご本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しようとする方がいますが、それは誤りです。被相続人の最後の住所地が基準ですので、間違えないようにしましょう。

裁判所の管轄については、以下のリンクから調べることができます。

[裁判所の管轄一覧(裁判所公式サイト)]
https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html

 

故人の住所地の調べ方

故人と頻繁に連絡を取っていた場合は、故人がどこに住んでいたか把握していることが多いですが、疎遠だった場合などには住所地が不明なケースもあります。以下に、代表的な調査方法を解説します。

 

戸籍の附票を調べる

故人の本籍地がわかっている場合は、「戸籍の附票」を取得することで、住民票上の住所の履歴を確認できます。戸籍の附票は、本籍地の市町村役場で請求可能です。

もし本籍地がわからない場合も、自身の戸籍から親の戸籍をたどることで、故人の戸籍を見つけることができます。相続人である以上、故人と親族関係にあるため、戸籍をさかのぼればたどり着けるのが通常です。

 

不動産登記事項証明書を調べる

故人が不動産を所有していた場合、不動産登記事項証明書に記載された住所から、最後の住所地を特定できることがあります。ただし、登記簿上の住所が最新とは限らないため、そこからさらに調査が必要になる場合もあります。

 

死亡届記載事項証明書を調べる

役所に提出された死亡届には、故人の氏名・本籍・住所などが記載されています。「死亡届記載事項証明書」を取得すれば、住所を確認できることがあります。

死亡届は、死亡地・本籍地・届出人の住所地のいずれかの役所で一定期間保管された後、法務局に送付されます。一定の範囲の親族であれば、この証明書を請求できます。相続人であれば通常請求可能です。

 

どうしても住所地を特定できない場合

戸籍等をたどっても住所地が判明しない場合、家事事件手続法の定めにより、東京都千代田区を管轄する東京家庭裁判所が手続きの管轄裁判所となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続放棄の手続きを行うべき家庭裁判所について、その管轄の調べ方を解説しましたが、いかがだったでしょうか。

相続放棄の手続き自体はそこまで複雑ではありませんが、管轄裁判所について正しく理解している方は少なく、実際のご相談でも「どこに申し立てればよいかわからない」という声をよくお聞きします。本コラムが、そのような方々の参考になれば幸いです。

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