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相続コラム

第119回相続コラム 遺産分割の禁止とは何か?利用方法や注意点などを解説

相続が発生し、遺言書がのこされている場合には、その遺言の内容に従って遺産が分配されますが、遺言がない場合には、相続人間で遺産分割協議を行い、その協議にしたがって遺産が分割されます。この遺産分割協議ですが、一定期間禁止される場合があるのをご存知でしょうか。今回のコラムでは、遺産分割の禁止とは何か、禁止されるケースや注意点などを解説したいと思います。

 

遺産分割の禁止とは

「遺産分割の禁止」とは、文字通り、一定期間の間、遺産分割を禁止することをいいます。

遺産分割が禁止されている期間中に遺産分割協議を行ったとしても、その協議は無効となるのが原則です。

 

遺産分割が禁止される3つのケース

 

遺言によって遺産分割が禁止されている場合

法律では、遺言によって「相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる」(民法第908条1項)と定められていますので、遺言に遺産分割を禁止する旨の記載がある場合には、その定められた期間内は遺産分割協議を行うことはできません。

 

相続人間の合意によって分割が禁止されている場合

「共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる」(民法第908条2項)と、法律上定められていますので、相続人間の合意によって、遺産分割を禁止される場合があります。

ただし、禁止期間中に相続人全員の合意により成立した遺産分割協議は、遺産分割禁止の合意が上書きされたものとして有効と解されます。

 

家庭裁判所によって分割が禁止されている場合

遺産分割協議が調わないときや協議がすることができない場合には、相続人は遺産分割を家庭裁判所に請求することができるのですが、「特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる」(民法第908条4項)と定められており、家庭裁判所によって分割が一定期間禁止される場合があります。

 

遺産分割の禁止はどのような場合に利用されるのか

遺言などによって遺産分割が一定期間禁止されることがあるのは前述のとおりですが、どのような場合に、遺産分割の禁止が利用されるのでしょうか。

典型的なケースとして、相続人の中に未成年者がいるケースが挙げられます。

未成年者とその親権者が、ともに相続人となった場合、両者はいわば遺産を取り合うような関係にあり(利益相反関係)、このような利益相反関係のある状態では、親権者が親権を行使することは法律上禁止されるため、未成年者のための特別代理人の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。

特別代理人を選任する手続き自体が、複雑で面倒なため、未成年者がもう少しで成人するというような場合には、一定期間遺産分割を禁止して、特別代理人の選任を回避するという目的で利用されます。

また、相続開始直後というのは、被相続人が亡くなって間もないため、遺産分割協議を行うにも、冷静な判断が難しかったり、つい感情的な話し合いになりがちということがあります。そこで、一定期間、遺産分割を禁止することで、いわば冷却期間を設けるという意味で利用されることもあります。

 

遺産分割の禁止と注意点

相続税を申告する必要がある場合、その申告期間は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」となっていますが、これは遺産分割の禁止とは無関係に進行します。

つまり、遺産分割が禁止されていたとしても、相続税の申告期間の延長は認められず、相続税の申告は定められた期間通りに行われなければならないので注意が必要です。

遺産分割が未了状態で相続税を申告すると、「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」などの特例の適用が受けられないため、相続税を余分に納付することなってしまいますが、相続開始から3年以内に遺産分割が行われる場合には、「申告期限後3年以内分割見込書」という特別な書面を提出することによって、後に相続税の還付を受けられる場合があります。

 

おわりに

今回のコラムでは、遺産分割の禁止とは何か、禁止されるケースや注意点などを解説しましたが、いかがだったでしょうか。遺産分割が禁止されるケースというのは、頻繁にあるものではありませんが、仮に、禁止された場合に、慌てないために、知識として知っておくことは大切です。特に相続税の申告については、対応を誤ると余分に税金を納めることになってしまう危険性があるため、注意が必要です。

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