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相続コラム

第42回相続コラム 「騙された」、「やっぱり納得がいかない」。遺産分割協議はやり直しができるのか?

遺産分割協議が成立した後に、「財産が隠されていた」、「遺産の内容を騙された」、「やっぱり納得がいかない」等、様々な理由で遺産分割協議をやり直したいと考える方も少なくありません。今回のコラムでは、遺産分割協議のやり直しについて解説したいと思います。

 

遺産分割協議は原則やり直すことはできない

遺産分割協議は、原則として、やり直すことはできません。遺産分割協議というものは、遺産の最終的な帰属を決定する重要な手続きのため、これを無制限にやり直せるとすると、いつまで経っても権利関係が確定しなくなり、不安定な状態になってしまうからです。

ただし、いくつか例外的に遺産分割協議をやり直せる場合があります。

 

相続人全員の同意がある場合

遺産分割協議をやり直すことに、相続人全員が同意し、新たな合意が形成できる場合には、やり直された遺産分割協議は有効になります。

遺産分割協議は、相続人全員の合意により成立するものなため、再協議に相続人全員が納得し、新たに全員の合意を形成できるなら、これを無効にする理由はないからです。

ただし、一度成立した遺産分割協議によって、新たに相続人以外の第三者が関与することになった場合には、その者との関係も当然にやり直しできるわけではありません。例えば、相続した不動産を第三者に売却し、その代金を相続人間で分配していたような場合、いくら相続人間で遺産分割協議をやり直したからといって、第三者から不動産を当然に取り戻すことができるわけではありません。

あくまで相続人間の権利関係をやり直すだけであり、新たな合意に関与していない第三者の権利までも変更できるものではないので注意が必要です。

 

遺産分割協議に取り消し事由、無効原因がある場合

遺産分割協議に、法律的な瑕疵(問題点)があり、取り消しや無効主張できる場合には、遺産分割協議のやり直しが可能です。取り消しや無効原因がある場合には、前の遺産分割協議が有効なものとは言えないため、新たに遺産分割協議をやり直す必要があるからです。

 

詐欺や脅迫があった場合

詐欺や脅迫により、遺産分割協議に同意してしまったような場合には、その遺産分割協議を取り消すことが可能なため、遺産分割協議をやり直すことができます。

例えば、遺産隠しによって、遺産の内容を騙されていた場合や、脅されて遺産分割に同意したようなケースがこれにあたります。

 

財産の漏れ、後に生前贈与が発覚など錯誤があった場合

遺産分割協議時に、その協議の前提となる事実に大きな勘違い(錯誤)があり、「その錯誤がなければ遺産分割協議に同意しなかったであろう」と認められる場合には、法律上、錯誤無効というものを主張し、新たに遺産分割協議をやり直すことが可能です。

例えば、「多額の遺産の漏れ」があったり、「後に重大な生前贈与が発覚した」というようなケースです。ただし、大きな事実誤認があった場合に例外的に認められるだけで、「多少遺産の額が異なる」という程度では認められません。

 

遺産分割協議に不備があり無効になる場合

 

相続人に漏れがあった場合

遺産分割協議が有効に成立するためには、相続人全員の合意が必要であるところ、一人でも欠ければ無効になります。

例えば、「被相続人に認知した隠し子がいた」ような場合に、その存在を知らずに、その者抜きに遺産分割協議を行っていたというようなケースです。

 

認知症の相続人や未成年の相続人がいる場合

相続人の中に、認知症の方がおり、その方に代わって本来協議に参加するべき成年後見人がいなかった場合や、未成年の相続人がいる場合に、その者の代わりとなる特別代理人が選任されていない場合には、有効な遺産分割協議が成立したとは言えず、遺産分割協議はやり直しとなります。

詳しい解説は
第16回相続コラム 未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議と特別代理人
第15回相続コラム 相続人の中に認知症の方がいる場合の遺産分割協議
をご覧ください。

 

遺産分割協議のやり直しの注意点

 

遺産分割協議の取り消しには制限がある

遺産分割協議を、詐欺や脅迫によって取り消す場合には、時効による制限があります。いつまでも取り消すことができるわけではなく、5年という時効による制限があります。また、仮に取り消しを行ったとしても、その取り消された遺産分割協議に基く法律関係に、新たな第三者が加わっていたような場合には、その第三者との関係では、取消権が制限される場合があります。

 

税金の扱いには注意が必要

やり直す前の遺産分割協議に基いて、既に相続税を納付していた場合、協議をやり直したとしても、納付した税金が還ってくるわけではないので注意が必要です。また、やり直した協議の結果、財産が移転するような場合には、その財産の移転が税法上は「新たな贈与」とみなされ、別途、税金の納付が必要になることがあります。贈与税は、相続税と比較して、かなり高額になるため、特に注意が必要です。

 

遺産分割協議のやり直しの際には弁護士へ相談

遺産分割協議をやり直す場合には、取り消しや錯誤無効の主張など、その判断には高度な法律的判断が伴うものが少なくありません。また、仮にやり直しができるとしても、高額な税金を別途支払う必要性が生じたり、かえって損をするという危険性もあります。

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