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相続コラム

第82回相続コラム 遺言をのこす際に指定したい遺言執行者、そのメリット・デメリットを解説

過去数回に渡って、遺言について解説していますが、遺言をのこすなら、その際に遺言執行者を指定しておくと、更に遺言の利便性が向上します。今回のコラムでは、遺言執行者とは何か、指定するメリット・デメリットについて解説したいと思います。

 

遺言執行者とは何か?

遺言執行者とは、簡単に言うと、遺言を書いた本人の代わりに遺言の内容を実現させる人を指します。遺言が執行される時には、遺言を書いた本人は亡くなっていますから、遺言の内容を自らの手で実現させることはできません。そのため、遺言執行者が遺言を書いた本人に代わって遺産の分配などを行います。

 

遺言執行者の指定

遺言執行者は、遺言で指定することができます。遺言執行者を指定するかどうかは、原則として、遺言を書く者の自由意思に委ねられているため、遺言執行者を指定しないこともできます。遺言執行者が指定されていない場合には、相続人や受遺者(遺贈によって財産をもらい受ける人)が遺言の内容を実現させるための手続きを行うことになります。

ただし、子どもの「認知」や「相続人の廃除・その取り消し」を行う場合には、必ず遺言執行者が必要となるため、仮に、遺言で遺言執行者が指定されていない場合には、家庭裁判所にその選任を申し立てる必要があります。

 

遺言執行者を指定するメリット

遺言執行者を指定するか否かは、一定の例外を除き、遺言者の自由意思に委ねられていますが、遺言執行者を指定するメリットはなんなのでしょうか。

 

相続に関する手続きの負担を軽減

遺言執行者は、「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と、法律上定められており、非常に強力な権限を持っています。そのため、相続人の協力がなくとも、単独で、遺言の内容を実現するための手続きを進めることができます。

遺言執行者が選任されていない場合には、基本的には、相続人が遺言内容を実現するための手続きを行うのですが、その「相続人」は一人とは限りません。相続人が多くなればなるほど、手続きが複雑なものとなっていきます。

相続に関する手続きは、凍結された預金口座の解除であったり、不動産の名義変更であったりと、重要な財産に関する手続きが多く、ほぼ全ての手続きで、署名・押印、印鑑証明、戸籍謄本などの提出を求められるため、相続人全員の各種書類を、その都度集めるのは非常に手間がかかります。

その点、遺言執行者が選任されていると、遺言執行者の署名・印鑑・印鑑証明書等があれば、必要な手続きを進めることができますので、遺言内容を実現するための手続き的負担を大きく軽減することが可能となります。

 

手続きを円滑に進め、相続人間の揉めるリスクを軽減

遺言執行者がいない場合には、相続人が協力して、遺言の内容を実現する手続きを行う必要がありますが、中には手続きに非協力的な相続人がいるケースもあります。遺言の内容に不満があったり、または、自身が得しない手続きに消極的になるのは当然の心情です。

また、相続人に、特段、非協力的な意図はなかったとしても、現役世代の方であれば、仕事や家庭のことで手いっぱいで、時間をつくるのが難しく、結果的に、手続きに非協力的になってしまったり、つい後回しにしてしまったりなんてケースも少なくありません。

手続きが滞ることによって、相続人間で不信感が募り、または、それをきっかけに「そもそもあの遺言はおかしい」など、争いに発展してしまうなんてケースもないとはいい切れません。

遺言執行者が選任されている場合には、相続人の協力の有無とは無関係に、様々な手続きを進めていけるため、相続人の手続き的負担・精神的負担を軽減し、相続人間でやりとりする機会を減らすことによって、争いが発生する機会も減らすことにつながるため、より円満に、より円滑に遺産相続手続きを進めることが可能となります。

 

遺言執行者を選任するデメリット

遺言執行者となった方は、遺言執行に関する強力な権限を有する反面、様々な法的義務を負います。強力な権限を有する以上、その職務がきちんとなされているか監督するためにも、各種通知や報告義務、目録の作成など多岐に渡る義務を負います。

遺言執行者がなすべきことについては
第20回相続コラム どうする?遺言執行者に選任された場合」をご覧下さい。

仮に、相続手続きに詳しくない方が遺言執行者に就任した場合には、その方に大きな負担を負わせることになりかねず、また、遺言の執行自体が滞る危険性もあります。

 

遺言執行者として弁護士を指定

遺言執行者には、相続人以外の者を指定することも可能であり、法律の専門家である弁護士を指定する方も多くいらっしゃいます。

もちろん、専門家に依頼する以上、その分費用は必要となりますが、特定の相続人に大きな手続き的負担をかけるという事態を回避することができます。

また、弁護士のような法律の専門家が遺言執行者として就任すると、相続人への適切な説明を行った上で透明性の高い手続きが可能であり、また、相続に関する様々な法的問題にも対応可能なため、安心して遺言の執行を任せることができます。

 

おわりに

今回のコラムでは、遺言執行者とは何か、指定するメリット・デメリットを解説しました。遺言執行者として、長男等の相続人を指定される方もいらっしゃいますが、より確実、安心な手続きを望まれる場合には、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。

当事務所では、多くの相続に関する案件を扱ってきた実績があり、数多くの方から、遺言執行の依頼を受けております。

遺言執行者になってほしい、また、遺言執行者に指定されてしまったけれどどうしたらいいのかわからないなど、遺言執行者に関することでお悩み・お困りの方は、当事務所までご相談ください。相談は初回無料となっていますので、相続問題に関することはなんでもお気軽にお問い合わせください。

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