column

相続コラム

第204回相続コラム 渉外相続|相続人や財産が海外にある場合の手続きと準拠法

ご家族が亡くなった後、国内での相続手続きだけでも大変なのに、「相続人の一人が海外に住んでいる」「被相続人が外国籍だった」「亡くなった方が海外に不動産を持っていた」といった状況に直面し、どこから手をつければよいかわからず途方に暮れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

近年は国際結婚や海外移住が珍しくなくなり、北海道・札幌においても、外国籍の配偶者をお持ちの方や、お子さんがカナダやオーストラリアなど海外に定住されているご家庭が増えています。そのようなご家庭で相続が発生すると、「どの国の法律が適用されるのか」「海外にいる相続人とどうやって手続きを進めるのか」という、国内相続にはない複雑な問題が次々と現れてきます。

今回のコラムでは、相続人や財産が海外にある場合の「渉外相続」について、準拠法の考え方から具体的な手続き上の注意点まで、できるだけわかりやすく解説します。

渉外相続とは何か

渉外相続の定義と具体的なケース

「渉外相続」とは、相続に国際的な要素が絡む相続のことをいいます。具体的には、次のようなケースが該当します。

  • 被相続人(亡くなった方)が外国籍であった
  • 被相続人が日本国籍でも、死亡時の住所が海外にあった
  • 相続人の一部または全員が海外に居住している
  • 遺産の中に海外の不動産や銀行口座が含まれている
  • 被相続人が日本と外国の二重国籍を持っていた

これらのケースでは、単純に「日本の民法に従えばよい」とはならず、どの国の法律を適用するか(これを「準拠法」といいます)を最初に確認しなければなりません。準拠法を誤ったまま手続きを進めてしまうと、後から手続き全体をやり直すことになる可能性もありますので、早い段階で専門家に確認することをおすすめします。

渉外相続が複雑になる理由

国内相続であれば、日本の民法・相続税法に基づいて手続きを進めることができます。しかし渉外相続では、「どの国の法律が適用されるか」という問題に加え、「その国の法律で有効な手続きが日本でも有効か」という問題も生じます。また、海外に居住する相続人から署名・捺印などの書類を取り付ける際には、アポスティーユ(公文書の国際認証)や現地の公証手続きが必要になることがあり、手続きに数か月単位の時間がかかるケースも少なくありません。

準拠法の考え方――どの国の法律が適用されるのか

日本の国際私法における原則

日本では、「法の適用に関する通則法」(通則法)という法律が、渉外的な問題にどの国の法律を適用するかを定めています。相続に関しては、原則として被相続人の本国法(国籍国の法律)が準拠法となります(通則法36条)。

たとえば、アメリカ国籍の方が日本で亡くなった場合、相続については原則としてアメリカの法律が適用される可能性があります。逆に、日本国籍の方が海外で亡くなった場合でも、相続については日本の法律が適用されることが考えられます。

ただし、これはあくまで出発点であり、相手国の法律が「日本法を適用せよ」と定めている場合(反致)や、遺産の中に不動産が含まれる場合など、例外的な取り扱いが生じるケースも存在します。また、外国の法律の中には、相続人の範囲や法定相続分が日本と大きく異なるものもあり、「当然こうなるだろう」という思い込みが思わぬトラブルを招くこともあります。

遺言がある場合の注意点

渉外相続において遺言がある場合も、その遺言が有効かどうかは準拠法によって判断されます。日本の方式で作成された遺言が外国では認められないケースや、反対に外国で作成された遺言を日本で執行しようとする際に追加の手続きが必要になるケースが考えられます。

特に、海外居住中に現地の方式で作成された遺言書をお持ちの場合や、日本で公正証書遺言を作成していても相続財産が複数の国にまたがっている場合には、各国での有効性を個別に確認することが重要です。

海外に相続人がいる場合の手続き上の注意点

遺産分割協議と書類収集の難しさ

相続人の一部が海外に居住している場合、遺産分割協議を進めるうえでいくつかの実務的な困難が生じます。まず、相続人全員が協議に参加しなければならないため、時差やコミュニケーションの問題から協議が長期化しやすいという点があります。

また、日本の金融機関や法務局に提出する書類として、海外在住の相続人の「印鑑証明書」が求められることがあります。しかし外国には印鑑証明制度がないため、代わりにサイン証明(署名証明)や在外公館(大使館・領事館)での宣誓供述書を取得する必要が生じることがあります。これらの取得には現地に出向く必要がある場合もあり、時間と費用がかかることを事前に把握しておくことが大切です。

相続人の本人確認と戸籍の問題

日本では相続人の確定に戸籍謄本を使用しますが、外国籍の相続人が関係する場合や、被相続人が外国籍であった場合には、外国の出生証明書・婚姻証明書などを収集し、日本語に翻訳・認証する作業が発生します。国によっては戸籍制度そのものが存在しないため、家族関係の証明方法も国ごとに異なります。

さらに、外国籍の相続人が日本の相続手続きに参加するには、相続税の申告義務が生じる場合もあります。非居住者である相続人に対する課税関係は複雑であり、税理士との連携も視野に入れた対応が求められることがあります。

海外に財産がある場合の対応

海外不動産・海外口座の相続手続き

遺産の中に海外の不動産や銀行口座が含まれている場合、その財産が所在する国の法律に従った手続きが別途必要になる可能性があります。たとえば、アメリカの不動産であれば現地の弁護士(アトーニー)を通じたプロベート(遺産検認)手続きが必要になることがありますし、フランスの不動産であれば現地の公証人(ノテール)が関与することが一般的です。

日本で遺産分割協議書を作成したとしても、それだけで海外の財産の名義変更ができるとは限らず、現地の手続きを並行して進める必要があるケースが多くあります。国をまたいだ財産の調査・手続きには相当の時間と費用がかかることを念頭に置いておくことが重要です。

相続税の申告と国際的二重課税

日本に居住する相続人が海外財産を相続した場合、その財産についても日本の相続税の対象となる可能性があります。一方で、財産の所在国でも相続税や遺産税が課される場合があり、二重課税の問題が生じることがあります。

日本では、外国で課された相続税について「外国税額控除」の制度が設けられており、一定の範囲で二重課税を回避できる可能性がありますが、適用には条件があり、専門的な判断が必要です。相続税の申告期限は相続開始から10か月以内と定められていますので、早めに税理士を交えた検討を始めることをおすすめします。

おわりに

渉外相続は、「どの国の法律が適用されるか」という準拠法の問題から始まり、書類収集・遺産分割協議・各国での名義変更手続き・相続税の申告まで、国内相続に比べてはるかに多くの専門知識と時間が必要になります。相続人や財産が複数の国にまたがる場合は特に、早い段階で弁護士などの専門家に相談し、全体の流れを把握したうえで一つひとつ対応していくことが重要です。「自分の家族のケースはどうなるのだろう」と不安を感じていらっしゃる方は、ぜひ一度専門家にご相談されることをおすすめします。

当事務所では、相続に関するご相談を随時受け付けております。初回相談は無料ですので、一人で悩まずにまずはお気軽にご連絡ください。遺産分割や相続手続き、相続トラブルの解決など、経験豊富な弁護士があなたの状況に合わせた解決策をご提案いたします。

相続・遺言の無料相談実施中!

「遺産分割の問題、相続トラブル、遺言書の作成、成年後見、民事信託など相続、認知症対策などに関わるご相談は、やなだ総合法律事務所にお任せください。

当事務所の弁護士、スタッフが親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
ますは、無料相談をご利用ください。

予約受付専用ダイヤルは011-209-1126になります。

また、メールからの予約受付も行っております。お気軽にご相談下さい。」

相続のご相談は当事務所にお任せください

https://yanada-souzoku.jp/wp2/cases/

よくご覧いただくコンテンツ一覧

よくご相談いただくサービスメニュー

  • 遺産分割の交渉に関する報酬

    争いのある遺産分割の
    協議、調停、審判などの交渉全般を頼みたい

    詳細はこちら
    遺産分割協議

    トラブルを回避し遺産分割したい
    遺言書が残されていない

    詳細はこちら
    遺留分侵害額請求

    遺産を公平に分配してほしい
    遺言の内容に不満がある

    詳細はこちら
    遺産分割の交渉に関する報酬

    相続放棄・限定承認手続き
    預金の使い込み返還請求・遺言無効の訴え

    詳細はこちら
    遺産分割の実現

    相続トラブルを回避して
    円満に遺産分割を終える

    詳細はこちら
    民事信託(認知症対策)

    これまでの制度だけでは
    解決できなかった対策が可能な制度

    詳細はこちら

札幌で遺産相続のご相談は、当事務所にお任せください!

相続や遺言について 無料相談受付中!