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相続コラム

第107回相続コラム 相続税額の2割加算について解説

前回のコラムでは、養子縁組が相続対策になぜ利用されるのかについて解説しましたが、その中で、『相続税額の2割加算』のお話しに触れました。今回のコラムでは、あらためて『相続税額の2割加算』について、適用される要件等を解説したいと思います。

 

相続税額の2割加算について

相続や遺言などによって財産を取得すると、相続税が課せられるのが原則となりますが、その納税額は、実は、全ての相続人が同じというわけではありません。

遺産を受け取った人によっては、相続税額が2割加算される場合があります。それがいわゆる『相続税額の2割加算』と呼ばれるものです。

 

相続税額の2割加算の対象

相続、遺贈(遺言による贈与)や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

簡単に言うと、相続人が、自身の配偶者や子、親、以外の者である場合には、相続税額が2割加算されてしまうということになります。

前回のコラムでも解説しましたが、孫と養子縁組をした場合、養子縁組をした者同士の血縁関係は、一親等の血族となりますので、一見すると、養子縁組した孫は2割加算の対象外のようにも思われます。しかし、税法上、孫と養子縁組をした場合には、例外的に、「2割加算」の対象となります。

相続という制度には、相続人の生活保障という側面があることからすれば、被相続人と血縁の近い人とそうでない人の相続税が同じというのは不自然であること、また、被相続人の孫が遺産を直接相続した場合には、「相続を1回スキップ」するような格好となり、相続税を1回免れることができるということが、孫と養子縁組した場合に2割加算される理由と考えられています。

孫が相続人となった場合であっても、それが代襲相続による場合には、上の理由で解説した、「相続を1回スキップ」するということはなく、あくまで本来相続すべきであった者に代わって相続しているだけですので、「2割加算」の対象とはなりません。

孫と養子縁組をした場合だけ特殊な処理となりますので、注意が必要となります。その他の場合、例えば、『長年、介護等で献身的に尽くしてくれた、長男の妻を養子にして、遺産をのこしてあげたい』というような場合には、通常通り、養子縁組によって、一親等の血族となりますので、「2割加算」の対象とはなりません。

 

相続税額の2割加算の対象者まとめ

■被相続人の配偶者ではない方
■被相続人の一親等の血族ではない方
■被相続人と養子縁組をした被相続人の孫

参考:国税庁タックスアンサー

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm

 

 

おわりに

今回のコラムでは、『相続税額の2割加算』について、適用される要件等を解説しましたが、いかがだったでしょうか。養子縁組等を活用して、相続対策を行う際には、詳細なシミュレーション等が重要となりますので、専門家に相談することをオススメします。

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