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相続コラム

第77回相続コラム 遺言をのこすべき理由・メリット-口座凍結との関係から解説

意外と知らない方も多いのが口座凍結。口座の名義人が亡くなると、その方の口座は凍結されてしまいます。口座が凍結された場合には、その解除には一定の手続きが必要となるのですが、遺言の有無によって、解除までに要する期間や手続きの難易に大きな差が生じます。今回のコラムでは、口座凍結の解除という観点から、遺言をのこすべき理由や、その際のポイントなどを解説したいと思います。

 

そもそも口座凍結とは

口座の名義人が亡くなると、その口座の財産は、故人から相続人へと相続されることになりますが、その相続人のうち「誰が正式に口座を相続するのか」確定していない段階で、預金を引き出せてしまうと、「使い込み」等をめぐって相続人間で争いになってしまったり、また、銀行が相続人間のトラブルに巻き込まれてしまう危険性があります。

そのようなトラブルを回避するために、口座の名義人が亡くなると、より正確には、口座の名義人が亡くなった事実を銀行が認識すると、故人名義の口座に関する取引は全て停止されます。これが口座凍結と呼ばれるものです。

口座が凍結されると、預金を引き出すことができないのはもちろん、振込や引落も全て停止されてしまいます。

 

故人の口座が凍結されると困る場合がある

口座の名義人という人が亡くなっている以上、その葬儀に必要な費用や、また故人が入院・療養していた場合には、その治療費等、何かと出費が必要となり、その額は少額ではないのが通常です。当てにしていた故人の口座のお金が口座凍結により使えないとなると、相続人の資力によっては、費用の捻出に苦慮することになってしまいます。

また、例えば、専業主婦の方など、口座名義人に生活を依存していた方や、夫婦の生活資金を亡くなった方の口座に預けて管理していたような方は、その口座が凍結されると、自身の生活費も引き出すことができなくなり、生活に困窮してしまうおそれもあります。

 

口座凍結解除には遺言書か遺産分割協議書が必要

凍結された口座は、できるだけ早く解除したいところですが、その手続きには遺言書または遺産分割協議書のどちらかが必要となります。そして、そのどちらを用いるかによって手続きにかかる手間はもちろん、解除までに必要な期間も大きく異なります。

遺言書がのこされていない場合

口座名義人である故人が遺言をのこしていない場合には、死後に遺言書を作成することはできないので、口座凍結解除には遺産分割協議書の提出が必要となります。

遺産分割協議は、遺産構成や相続人の人数等によって、その成立にかかる期間は変わってきますが、遺産分割協議が有効に成立するためには相続人全員の合意が必要となるため、短くない期間を要するのが一般的です。場合によっては数年かかるというケースも珍しくありません。

また、遺産分割協議の“遺産を分け合う”という事柄の性質上、その話し合いの場では、お互いの利害が衝突するため、場合によっては、合意どころか争いに発展するケースも少なくありません。

まとめると、遺言がない場合には、遺産分割協議が必須となりますが、遺産分割協議は必ずしもスムーズに合意が成立するとは限らないため、もし協議が長期化すると、長期化した分だけ、口座凍結を解除することができない期間が長くなってしまいます。

 

遺言書がのこされている場合

もし口座名義人が遺言書をのこし、その内容として預金を相続する者を指定していた場合には、面倒でリスクのある遺産分割協議を経ることなく、その遺言書を提出して口座凍結を解除することができます。

つまり、遺言書には、口座凍結解除の際の手続きを簡素化し、解除までの期間を短くすることができるという大きなメリットがあるのです。

なお、具体的な、口座凍結解除の手続きについては
第30回相続コラム 被相続人の口座から預金が引き出せない…口座が凍結された場合の解除方法について」をご覧ください。

 

遺言書をのこす際に気をつけるべき検認

少し専門的なお話になりますが、遺言には、いくつか種類があり、その種類によっては、検認という特別な手続きが要求される場合があります。そして、検認が必要な遺言を口座凍結解除に用いる場合には、遺言書だけではなく、検認調書という検認の結果を記す書面の提出も必要となってしまいます。

この検認という手続きは、家庭裁判所に申し立て、家庭裁判所で行われるのですが、申し立てから実際に検認する検認期日まで、1ヶ月から2ヶ月程度かかるのが一般的です。

ですので、せっかく遺産分割協議を省き、迅速な口座凍結解除を可能とするために遺言を作成したはずが、その遺言に検認が必要となると、検認に数ヶ月の期間がかかってしまい、本末転倒ともなりかねません。

ですので、口座凍結解除を視野にいれた遺言を作成する際には、検認が不要な形式で遺言を作成することが重要です。具体的には、公正証書遺言で作成するか、自筆証書遺言で作成した際には、遺言保管制度を利用することになります。

 

まとめ

口座が凍結され、それが長期に及ぶと、残されたご家族の生活に支障が生じるおそれがあります。口座凍結を迅速に解除するためには、面倒で時間のかかる遺産分割協議を省くべく、予め遺言をのこしておくことが大切です。また、遺言について、検認が必要となると、その分、凍結解除が遅れてしまうため、検認が不要な公正証書遺言等を利用するのが重要となります。

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