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相続コラム

第197回相続コラム 親の財産を勝手に使われたら?相続財産の使い込みへの対応と返還請求のポイント

相続のご相談の中でも、近年特に増えているのが「相続財産の使い込み」に関するトラブルです。

典型的なのは、親と同居していたり、介護を担っていた兄弟姉妹の一人が、親の預金などを管理していたケースです。相続が発生して初めて通帳を確認したところ、多額の出金があり、「これは何に使われたのか分からない」という問題が発覚します。

このような場合、「不公平ではないか」「取り戻すことはできるのか」と悩まれる方が多くいらっしゃいます。本コラムでは、相続財産の使い込みが問題となる場面と対応方法、そして特に見落とされがちな“時効”の問題について解説します。

 

相続でよくある「使い込み」トラブルとは

相続財産の使い込みは、決して特殊な問題ではありません。むしろ、親の生活や財産管理を一部の相続人が担っている家庭では、誰にでも起こり得る問題です。

高齢の親と同居し、日常的に通帳やキャッシュカードを管理していた相続人が、生活費や介護費の支払いを行う中で、他の相続人には見えない形で出金が重なっていきます。そして、親が亡くなった後、初めて他の相続人が財産の状況を確認し、問題に気づくという流れが典型です。

問題は、その支出が正当なものだったのか、それとも私的な流用だったのかが、後からでは分かりにくい点にあります。

 

どこからが「使い込み」になるのか

もっとも重要なのは、「すべての出金が違法になるわけではない」という点です。

親の生活費や医療費、介護費として支出されていたのであれば、それは当然必要な支出ですし、問題にはなりません。また、親本人の意思に基づいて贈与が行われていた場合もあります。

しかし一方で、本人の意思に基づかない出金や、使途の説明ができない多額の引き出しがある場合には、法的に問題となる可能性が高くなります。

実務では、「その支出が本人のためのものといえるか」「客観的に説明できるか」という観点から判断されることになります。

 

使い込みが疑われた場合の初動対応

使い込みの可能性に気づいたとき、何よりも重要なのは初動の対応です。

まず行うべきは、感情的な対立に入ることではなく、客観的な資料をもとに事実関係を整理することです。特に預金については、入出金履歴を確認することで、いつ頃からどのような出金が行われていたのかが見えてきます。

ここで注意すべきなのは、「後でまとめて確認すればよい」と考えて対応を先送りにしてしまうことです。相続の問題は時間が経つほど複雑になり、後戻りが難しくなります。

そして、この点と密接に関係するのが、次に説明する時効の問題です。

 

【重要】使い込みの返還請求には時効がある

相続財産の使い込みに対して返還を求める場合、中心となるのは不当利得返還請求ですが、この請求には時効があります。

法律上は、権利を行使できることを知った時から5年、または行為の時から10年で時効が完成するとされています。

ここで問題となるのは、相続人の多くが「相続が発生して初めて使い込みに気づいた」と感じている点です。しかし、実際の出金はそれよりも前から行われていることが通常です。そのため、古い出金については、すでに時効により請求できなくなっている可能性があります。

この問題は、長期間にわたり少しずつ出金が行われているケースで特に顕著です。一見すると大きな問題に見えなくても、長年の積み重ねにより多額になっていることも少なくありません。

さらに、「まずは様子を見よう」「話し合いで解決できるかもしれない」と考えているうちに時間が経過し、結果として請求できる範囲が狭まってしまうこともあります。

こうした点から、使い込みの問題は「時間との勝負」であるといえます。

時効の完成を防ぐためには、適切なタイミングで法的な手続を取ることが重要です。もっとも、どの時点から時効が進行しているかは専門的な判断を要するため、自己判断で対応を遅らせることにはリスクがあります。

 

取り戻すための法的手段

使い込みが認められる場合、その返還を求める方法はいくつか考えられます。

中心となるのは不当利得返還請求ですが、これは法律上の原因なく利益を得た場合に、その返還を求めるものです。特に使途が明らかでない出金については、この枠組みで問題となることが多くなります。

また、意図的な流用や隠匿といった悪質な事情がある場合には、不法行為に基づく損害賠償請求が検討されることもあります。

さらに、遺産分割の場面において、使い込まれた金額を「特別受益」として考慮し、分配を調整するという方法が取られることもあります。

どの手段を選択するかは、証拠の状況や相手方の対応によって大きく変わるため、個別具体的な検討が必要になります。

 

よくある反論とその考え方

使い込みを指摘した場合、相手方からはさまざまな反論がなされることがあります。

例えば、「介護をしていたのだから、その分として使った」「親に頼まれて引き出した」「生活費として使ったにすぎない」といった主張です。

これらの主張が認められるかどうかは、最終的には証拠によって判断されます。単に口頭で説明するだけでは足りず、その支出が実際に親のために使われたことを裏付ける資料が求められる場面が多くなります。

したがって、争いの帰趨は、どちらの言い分が客観的に裏付けられるかにかかっているといえます。

 

証拠の収集が結果を左右する

使い込みの問題では、証拠の有無が極めて重要です。

もっとも代表的なのは銀行の取引履歴ですが、それに加えて、支出内容を裏付ける領収書や記録、さらには当時の状況を示す資料なども重要になります。

もっとも、現実にはすべての証拠が揃っているケースばかりではありません。その場合でも、取引の流れや金額の不自然さを積み重ねていくことで、一定の主張を構築していくことになります。

 

放置すると取り返しがつかなくなる可能性も

使い込みの問題は、感情的な対立を避けたいという理由から、対応が後回しにされることも少なくありません。

しかし、時間の経過は必ずしも解決につながるものではなく、むしろ状況を悪化させることが多いのが実情です。

特に見落としてはならないのが、時効の進行です。時間が経つほど請求できる範囲は狭まり、場合によっては大部分を取り戻せなくなることもあります。また、証拠が散逸したり、当事者の記憶が曖昧になるといった問題も生じます。

このように、使い込みの問題は放置することで確実に不利な状況に進んでいきます。

 

まとめ|使い込み問題は“早く動くこと”が何より重要

相続財産の使い込みは、法的な問題であると同時に、家族間の感情が強く影響する難しい問題です。

しかし、対応を誤ると、取り戻せたはずの財産を失ってしまう可能性があります。特に重要なのは、時効の問題を正しく理解し、早期に動くことです。

使い込みに気づいた段階で、まずは事実関係を整理し、必要に応じて法的な対応を検討することが重要になります。

相続財産の使い込みは、時効との関係で早期対応が極めて重要です。
特に、いつから時効が進行しているかは専門的な判断を要する場面も多くあります。

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