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相続コラム

第47回相続コラム 2022年4月1日改正法施行 「18歳成年」による相続への影響

本日(2022年4月1日)から施行された「民法の一部を改正する法律」により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成年年齢が18歳になったことにより、相続に関する手続き等にどのような影響があるのでしょうか。今回のコラムでは、成年年齢引き下げによる、相続に関する手続きへの影響について解説したいと思います。

 

18歳から遺産分割協議へ参加可能

遺産分割協議は、遺産の分配方法を協議し、その内容によって取得する相続財産が大きく異なってくるため、未成年者は単独で協議に参加することはできません。

未成年者が相続人である場合には、親権者が法定代理人として参加するか、特別代理人という特別な代理人を選任する必要があります。

未成年者もその親権者も、両者とも相続人となる場合には、未成年者と親権者との間で利益が相反する関係(一方が得をすると一方が損をする)が認められるため、親権者が未成年者の代理人となることはできず、家庭裁判所に特別代理人というものを選任してもらう必要があります。

改正法施行により、いままで遺産分割協議に参加できなかった18歳や19歳の者も遺産分割協議に参加することが可能となったため、複雑で手間のかかる特別代理人の選任申し立て等の手続きが不要となる場面が増えることになります。

相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議について詳しくは
第16回相続コラム 未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議と特別代理人」をご覧下さい。

 

18歳から相続放棄が可能

相続放棄という行為は、それによって相続権が一切なくなる処分行為であり、未成年者が単独で行うことはできません。

未成年者が相続放棄の手続きを行うには、法定代理人である親権者か、特別代理人が代わりに行う必要があります。

一般的に、未成年者とその親権者が相続人となった場合、遺産分割協議の際には、多くのケースで利益相反となり、特別代理人の選任が必要となりますが、例えば、「被相続人が多額の負債を残して亡くなったため、その相続人である未成年者もその親権者も相続放棄する」というケースでは、特に利益相反が認められないため、親権者が法定代理人となって相続放棄の手続きを行うことができます。

上記のように、相続放棄は親権者が法定代理人として、多くのケースで未成年者の代わりに手続きを行うことが可能ですが、今回の法改正により18歳以上であれば単独で相続放棄をすることが可能となります。

 

遺言関連の影響

公正証書遺言には「証人」、特別方式の遺言には「立会人」という者が必要になるケースありますが、それらの者には未成年者はなることができません。改正法施行により、18歳以上であれば遺言の証人や立会人になることが可能となります。

また、遺言の内容を実現する遺言執行者も、未成年者は就任することができませんが、改正法施行によいり18歳から就任することが可能となります。

ちなみに、遺言書の作成は、あまり知られていないことですが、元から15歳から作成することが可能ですので、今回の改正法による影響はありません。

 

「相続税の未成年者控除」の計算方法が変更

相続税を計算する際に「未成年控除」というものがあるのですが、その計算方法が変更になります。
相続税の未成年者控除とは、相続人に未成年者がいる場合に、その者の扶養の観点から、相続税額から一定額を控除できるという制度です。

未成年者控除の計算方法は、その未成年者が成年になるまでの年数(扶養が必要な期間)×10万円で計算されます。

改正法施行前
未成年控除額=(20歳-相続開始時の年齢)×10万円
改正法施行後
未成年控除額=(18歳-相続開始時の年齢)×10万円

 

相続時精算課税制度の適用対象は18歳以上に変更

相続時精算課税制度とは、生前贈与により若い世代に資産を譲り渡しやすくし、経済を活性化させることを目的に定められた制度です。この制度を利用すると、2,500万円までの贈与について、贈与税がかからなくなります。

正確には、贈与時の高額な贈与税を支払う必要はなくなりますが、贈与者が亡くなった際には、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産は、相続財産として、実際に残っていた遺産に合算されて相続税が計算されるため、相続時精算課税制度は、税金の支払を免れる制度ではなく、税金の支払を相続時に先送りする制度と言えます。

相続時精算課税制度は経済の活性化目的で定めれている制度なため、贈与を受けることができる受贈者には経済活動を行うことのできる20歳以上の子や孫という制限がありました。

今回の改正法に合わせた税制改正により、受贈者の年齢制限は、20歳以上から18歳以上に変更されました。

 

改正法施行後、相続に関する手続きで迷ったら弁護士へ相談

法改正直後などは、情報も乏しく、どのような影響があるのか、何が変更になったのか迷う場面も多くなります。特に遺産分割協議のような重要な場面で、誤った対応をすると、後の手続きが全てやり直しなど、多くの手間や労力がかかるおそれもあります。

当事務所は、相続問題に関して数多くの実績を有する弁護士が所属する法律事務所です。今回の改正法に限らず、相続に関する問題でお悩みの際には、専門の弁護士が、皆様のお悩みに真摯に対応致します。初回無料にて相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。

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