相続放棄をすると、放棄をした人は、借金等を相続することはなくなりますが、放棄をしていない相続人や、同順位の相続人が全員相続放棄をした結果、次順位の相続人に相続権が移り、その者が借金を相続してしまうということがあります。
先順位の相続人は、「後順位者が知らないうちに多額の借金を相続していた」という状況を避けるために、自身の相続放棄の事実を後順位者に知らせてあげることが大切です。逆に、後順位者としては、自身が相続人となるか否かは、先順位者が相続放棄をしたかどうかに懸かっているため、先順位者に相続放棄の有無を確認することが重要です。
ただ、家族間の事情によっては、そもそも関係が疎遠であったり、故人の借金等に関係する事柄から、相続人間の仲が良好ではないというケースも少なくありません。
そこで、今回のコラムでは、後順位の相続人が、先順位の相続人等に対して、相続放棄の有無を確認することが難しい場合に利用したい「相続放棄の照会」について解説したいと思います。
相続放棄の有無は家庭裁判所で照会できる
相続人が相続放棄をする際には、家庭裁判所で申述する必要があるため、その申し立てが受理されたかどうかについての情報を家庭裁判所は持っています。ですので、家庭裁判所に照会することで、相続放棄がなされたか否かを確認することができます。
照会の申請手続き
照会を申請する裁判所
裁判所は全国各地にありますが、相続放棄の照会を申請するのは、被相続人(故人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。照会の手数料は無料です。
裁判所の管轄は下記サイトで確認できます。
https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html
照会を申請可能な人
相続放棄の照会を申請できるのは
・相続人
・亡くなった方(被相続人)の利害関係人
です。
被相続人の利害関係人とは、例えば、故人にお金を貸していたような人です。その者は、相続人に借金の返済を求められるかどうかは、相続放棄の有無と密接に関係するため、利害関係が認められます。
照会時に必要な書類
照会を申請する際に必要となる添付書類は、裁判所毎に若干異なる場合があるのですが、相続人が申請する場合は概ね以下のような書類が必要となります。
1.被相続人の住民票の除票(本籍地が記載されているもの)
被相続人が亡くなった事実と最後の住所地を確認するのに必要
2.照会者と被相続人の戸籍謄本(発行から3ヶ月以内)
照会を申請している相続人と被相続人との関係を確認するために必要
3.照会者の住民票(本籍地が記載されているもの)
後に照会の結果が書面で郵送されるため、照会者の住所地を確認するために必要
4.返信用封筒と返信用切手
照会結果の送るのに必要。郵送ではなく窓口で受け取る場合には不要です。
他に、弁護士に照会を依頼する場合には委任状が必要になります。詳しい必要書類については、申請する家庭裁判所毎に差異がありますので、直接裁判所に問い合わせ、その指示に従ってください。
相続放棄で困ったら弁護士へ相談
当事務所では、相続問題に精通し、数多くの相続放棄案件に携わってきた弁護士が、相続放棄の照会から実際の相続放棄の手続きまでワンストップサービスでお手伝いさせて頂きます。相談は初回無料ですので、相続放棄のお困りの方はお気軽にご相談ください。