相続対策には欠かせないツールの遺言書。実際に相続が発生した際には、その後の手続きがスムーズに進み、相続人の負担を軽減することにも大いに貢献するのが遺言書です。今回のコラムでは、遺言書の作成を弁護士に依頼するメリット・デメリットについて解説したいと思います。
遺言書の作成を弁護士に依頼するメリット
遺言者の手間や労力を大幅に軽減
いざ「遺言書を書こう」と思っても、遺言書という重要な書面を、単独で作成するのは大変です。慣れない法律について調査が必要であったり、ご自身の相続人への“想い”を法律的に不備のない形で書面にするのは思いのほか手間と時間がかかります。
その点、弁護士という法律の専門家に依頼すると、難しい法律の問題は専門家に任せ、ご自身の要望や“想い”を弁護士に伝えることで、あなたに最適な法律的に不備のない遺言書を作成することが可能です。
法律的に不備のないことは遺言書では重要
遺言書の様式は、法律で厳格に定められているため、それを満たさない遺言書は無効となってしまう危険性がありますし、また、その不備を理由に相続人間で争いになってしまうおそれもあります。しかし、遺言書は、それが利用される場面では、遺言を書いた方は既に亡くなっているため、後から、不備を修正したりすることはできません。ですので、法律的に間違いなく有効であり、確実な遺言書の作成を目指すのであれば、弁護士に依頼することで、正確性を担保し、安心を得ることができます。
正確な相続財産の調査が可能
遺言書を作成する際には、その前提として、相続財産の全体を正確に把握することが重要となります。そもそも遺産がどのくらいあるのか不明であると、相続人の法定相続分も不明となってしまい、誰にどのくらい遺産を残すのが妥当なのか、遺留分はどのくらいになるのか検討がつきません。
また、財産の種類によっては、評価方法によって、その価額が異なる場合があります。例えば、不動産や有価証券などがその代表例です。遺産の評価を誤り、後に相続人間の不公平を生んでしまったり、遺留分等を巡って争が発生しては、本末転倒です。
遺産の状況等によっても変わりますが、多くの弁護士事務所では、遺言書の作成を依頼すると、相続財産を調査し、正確な財産目録を作成してくれるところがほとんどです。ですので、弁護士に遺言書の作成を依頼すると、面倒な相続財産の調査や、財産目録の作成の手間を省くことができます。
万が一の法的トラブルにも対応
弁護士に遺言書の作成を依頼したとしても、相続人のどうしても譲れない想い等から、トラブルが発生してしまうことも、100%ないとは言い切れません。万が一、相続人間でトラブルが発生したとしても、遺言書作成時から携わってきた弁護士であれば、遺言者の意思や遺言書作成の経緯なども知っているため、適切に対応することが可能です。また、相続人同士の話し合いは感情的な話し合いになりがちですが、弁護士という専門化が交通整理することで、スムーズに話しが進むことがあります。
他の士業とは異なり、弁護士は法律トラブルに対応することが可能であり、万が一のトラブルの際にも安心できるのが強みとなります。
遺言書の作成を弁護士に依頼するデメリット
遺言書の作成を弁護士に依頼するデメリットとしては、やはり費用の問題が挙げられます。
おおよその相場ですが、弁護士に遺言書の作成を依頼すると、相談料が1時間で5,000円~10,000円程度、作成料は、遺産の多寡にもよりますが、10万円~20万円前後、必要となります。
特に自筆証書遺言をご自身で作成される場合には、特別な費用はほぼ不要なため、実質0円で作成することも可能であり、それと比較すると少なくない額の費用がかかるというのが大きなデメリットと言えます。
おわりに
今回は、遺言書の作成を弁護士に依頼するメリット・デメリットをお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。もしかすると、「多額の遺産のある方が、遺言書を作成し、弁護士に依頼する」というイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、実際に、相続で争いになるのは、遺産の多い方に限った話しではありません。遺産問題で相続人間で争いが発生し、「当てにしていた老後の生活費が無くなってしまった」、「遺産分割のために住み慣れた実家を売ることになってしまった」というケースも耳にします。残されるであろう相続人が争わないために、必要な対策は何かを、まずは弁護士に相談することをオススメします。
当事務所では、長年多くの相続問題に携わってきた経験豊富な弁護士が、無料相談を実施しております。遺言書の作成でお悩みの方はもちろん、相続に関するお悩み・お困り事は、お気軽に当事務所までご相談ください。