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相続コラム

第150回相続コラム 相続が重なった場合の再転相続とは何か解説

相続に関する法律問題は、偶然が重なることで複雑で難解なものとなってしまうケースが少なくありません。そのひとつとして相続が重なる再転相続というものがあります。今回のコラムでは、再転相続とは何かについて解説したいと思います。

 

再転相続とは

再転相続とは、一回目の相続が発生し、その相続における相続人が熟慮期間中に相続の承認や放棄等を行う前に亡くなり、次の相続が発生するケースを指します。簡略化して説明すると、一回目の相続の熟慮期間中に二回目の相続が発生したケースということです。

ちなみに、一回目の相続のことを「一次相続」、二回目の相続のことを「二次相続」と呼びます。

例えば、祖父が亡くなり、父がその法定相続人となりましたが、父が祖父の相続について、承認するか放棄するか決める前に亡くなってしまい、孫が相続人となったという場合が再転相続のケースになります。

この場合の孫は、父の法定相続人という地位があると同時に、その父が有していた祖父の法定相続人という地位も有することになります。

相続が発生すると、相続開始から3ヶ月間は、相続を承認するか放棄するかの選択が可能ですが、再転相続のケースでは、一次相続および二次相続の双方について、それぞれ承認するか放棄するかを選択することができます。

 

再転相続人が選択できない組み合わせ

再転相続によって相続人となった再転相続人は、一次相続および二次相続の双方について、それぞれ相続を承認するか放棄するかを選択することができますが、選択できない組み合わせもあるので注意が必要です。

それは、二次相続について相続放棄を選択しつつ、一次相続のみ承認するという組み合わせです。

二次相続について相続を放棄すると、一次相続について承認・放棄する権利も放棄することになってしまうからです。

上で挙げた例で説明すると、祖父の遺産は相続するが、父は多額の負債を抱えていたので、父の相続だけ相続放棄するという選択はできないということです。祖父の相続について承認するか放棄するかの決定権は、父が相続した権利であるので、その父からの相続を放棄した以上は、祖父の相続についての決定権も一緒に放棄することになるからです。

組み合わせと選択の可否
一次相続を放棄し、二次相続も放棄することは可能。
一次相続を放棄し、二次相続を承認することは可能。
一次相続を承認し、二次相続も承認することは可能。
一次相続を承認し、二次相続は放棄することはできません。

 

再転相続の熟慮期間

相続を承認するか放棄するかの選択は、原則として、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」にする必要があります。この三ヶ月の期間のことを熟慮期間と言います。

再転相続のケースでは、一次相続および二次相続の複数の相続について承認または放棄を選択することになりますが、どちらの熟慮期間も「二次相続の発生があったことを知った時から三ヶ月以内」となるのが通常です。

しかし、一次相続についての詳しい事情を、再転相続人が知らないケースもありますので、そのような場合にまで、一次相続の熟慮期間の起算点を二次相続と同様に考えると不都合な場面が存在しますので、一次相続について相続を承認・放棄するか否かを決定できる相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時を一次相続の熟慮期間の起算点と考える最近の裁判例があります(最判令和元年8月9日)。

少し専門的で難しい話になってしまうので、簡略化しますが、二次相続については二次相続の発生を知ったときから三ヶ月、一次相続については一次相続の発生を知ったときから三ヶ月でカウントします。ですので、通常のケースであれば、どちらの熟慮期間も「二次相続の発生があったことを知った時から三ヶ月以内」となるのが普通です。しかし、二次相続時に、実は、一次相続について相続を承認・放棄するか否かを決定できる相続人としての地位を、自己が承継していたという事実を知らなかった場合には、一次相続についての熟慮期間の起算点がずれることになります。

 

おわりに

今回のコラムでは、再転相続とは何かについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。実際に、再転相続が絡み相続放棄をしたい場合には、専門的な判断が必要となることがほとんどですので、そのような場合には、早めに弁護士に相談することをオススメします。

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