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相続コラム

第178回相続コラム 死因贈与とは何か?よく似た遺贈との違いも解説

遺言によって遺産を特定の誰かに譲ることが可能であり、遺言によって遺産を譲ることを遺贈と言います。遺贈とは別に死因贈与というものがあります。遺贈も死因贈与も「譲り渡す人が亡くなった時点で効力が発生する」し、「財産を無償で譲る」という点で共通しており、両者はよく似ているのですが、異なる点も多数存在します。今回のコラムでは、死因贈与とは何か、よく似た遺贈との違いも解説したいと思います。

 

死因贈与とは

死因贈与とは、譲り渡す人が亡くなることを条件として、特定の財産を無償で譲り渡す契約のことを言います。例えば「私が亡くなったら、別荘をあなたに無償で譲ります。」のような契約になります。

遺言による遺贈も死因贈与も「譲り渡す人が亡くなった時点で効力が発生する」し、「財産を無償で譲る」という点で共通しており、法律上も遺贈に関する多くの規定が死因贈与に適用されるため、両者はほぼ似た性質を持つのですが、死因贈与は、あくまで契約であり、その点で遺贈とは大きく異なります。

 

死因贈与と遺贈の違い

 

合意の有無

死因贈与はあくまで契約ですので、譲り渡す人と譲り受ける人の双方の合意によってはじめて成立します。それに対して、遺言は、遺言者の一方的意思で成立します。

また、死因贈与は契約である以上、未成年者等が単独で死因贈与を行うことはできません。未成年者が死因贈与をする場合には親権者の同意が必要となります。遺言の場合には、15歳以上であれば、単独で遺言をのこすことが可能です。

 

書面等の有無

死因贈与は、通常の契約と同じように、必ずしも契約書のような書面を作成する必要はありません。法律上は、いわゆる口約束だけでも有効に契約が成立します。

それに対して、遺贈は、遺言によって遺産を譲ることになるため、当然、遺言を作成しなければならず、また、その遺言は法律で定める方式に従ったものである必要があります。

もっとも、死因贈与の場合であっても、単なる口約束のみでは、実際に死因贈与契約があったことを証明することは難しく、相続人との間で「言った言わない」の水掛け論による争いになる可能性が極めて高いため、事実上、契約書を作成することは必須と言えます。

 

税金が異なる

死因贈与によって不動産を取得した場合には、常に不動産取得税という税金が課せられます。

具体的には、対象となる土地や建物の固定資産税評価額に対し3%(住宅以外の建物は4%)の不動産取得税が課されます。

それに対して、遺贈によって法定相続人が不動産を取得した場合には、不動産取得税は課せられません。なお、相続人以外の者が遺贈によって不動産を取得した場合には、不動産取得税がかかります。

また、死因贈与と遺贈では、不動産の登記を変更する際に必要となる登録免許税の扱いも異なります。死因贈与の場合には、一律2%の登録免許税がかかるのに対して、法定相続人に対する遺贈の場合には、登録免許税は0.4%となります。

 

死因贈与は不動産の仮登記が可能

死因贈与の目的物が不動産の場合には、契約が成立した段階で、所有権移転の仮登記をすることが可能です(始期付所有権移転仮登記)。

仮登記ができるということは、登記という公の記録簿の中に、現在は贈与者の所有不動産となっているが、贈与者が亡くなった場合には、受贈者の所有物になる旨を公示しておくことができるということです。仮登記をしておくことによって、不動産が二重に譲渡されたようなケースでも優位な立場を保全しておくことができます。

 

死因贈与の撤回には制限がある

遺言は、遺言者が自由に遺言内容を撤回したり、取り消すことが可能です。

それに対して、死因贈与の場合には、例えば、上で解説した仮登記を済ませた場合や負担付死因贈与契約を締結し、すでに負担の一部を履行済みであった場合には、死因贈与契約を贈与者の方から一方的に撤回することができなくなります。撤回する場合には、受贈者の同意が必要となります。

負担付死因贈与契約というのは、例えば、「私の介護をしてくれたら、私の死後に財産を譲る」というような契約です。その契約に基いて、財産を譲り受ける予定の者が、既に介護を始めている状況の中で、贈与者の方から一方的に契約を撤回することはできないということです。

 

おわりに

今回のコラムでは、死因贈与とは何か、よく似た遺贈との違いも解説しましたが、いかがだったでしょうか。死因贈与と遺贈はその効果がよく似ているため、混同されがちではありますが、それぞれ長所・短所がありますので、利用するシーンや目的に応じて使い分けることが重要です。

自分の死後に財産を譲りたいけど、遺贈がいいのか死因贈与がいいのか、どちらが適しているのかわからないという方は、相続に詳しい専門の弁護士に相談することをおすすめします。

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