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相続コラム

第166回相続コラム 法務局からの「長期間相続登記等がされていないことの通知」とは何か

ここ最近、法務局から 『長期間相続登記等がされていないことの通知』という通知が突然届き、驚かれてる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回のコラムでは、法務局から届く『長期間相続登記等がされていないことの通知』とは何か、また、この通知が届いた場合には、どのように対応すべきなのか解説したいと思います。

 

長期間相続登記等がされていないことの通知

近年、土地の所有者が亡くなっているにも関わらず、その土地の名義が相続人等に変更されずに放置され続けてしまった結果、現在の所有者が一体誰なのかわからなくなってしまった土地が増加し、社会問題となっています。いわゆる『所有者不明土地問題』と呼ばれている問題です。

所有者不明の土地は日本全体の土地の面積の約2割を占めるというデータもあり、そのような土地は、所有者が誰かわからない以上、勝手に処分することもできず、休眠した土地として利用・開発が全く活用できない状態になっています。

そのような状況を受けて、所有者不明土地問題に対応するために、2024年4月1日に、相続等によって不動産を取得した場合の不動産の名義変更手続き、これを専門用語で相続登記といいますが、この相続登記の申請が義務化されましたが、それだけではなく、登記を管轄する法務局でも、所有者不明土地問題を解消するための作業を数年前から行っています。

具体的には、法務局では、自治体等の要請により、30年以上相続登記がなされておらず、所有者が不明になっている土地を抽出し、その土地の法定相続人を調査し、調査した相続人に通知を発し、相続登記の申請を促しています。この法務局が所有者不明土地の相続人に発している通知が 『長期間相続登記等がされていないことの通知』ということになります。

参考:法務省ホームページ
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00470.html

 

通知を受け取った場合の対応

『長期間相続登記等がされていないことの通知』を受け取ったとしても、この通知自体に、特別な強制力等はありません。

しかし、『長期間相続登記等がされていないことの通知』を受け取ったという方は、相続登記がなされていない土地の相続人のはずですので、通知の有無とは無関係に、相続登記を申請する義務があり、その義務を怠ると罰則が適用されることになります。

ですので、『長期間相続登記等がされていないことの通知』を受け取った場合には、素直に相続登記を申請するか、または、可能な場合には相続放棄を検討することになります。

 

相続登記を申請する

相続によって不動産を取得しており、相続放棄を選択しない(できない)場合には、相続登記を申請する必要があります。

相続登記を申請する場合、法定相続分通りに登記を申請する方法と遺産分割協議に基いて登記を申請する方法がありますが、いずれの場合でも、まずは、法定相続人全員を特定する必要があります。

法務局より届いた『長期間相続登記等がされていないことの通知』を受け取った方は、最寄の法務局で、法定相続人情報を出力した書面を受け取ることができますので、まずは、法務局で法定相続人情報を取得します。この法定相続人情報を取得することで、法定相続人は誰なのかを確認することができます。

共同相続人を把握することができたら、法定相続分通りに相続登記を申請することができます。また、特定の相続人に不動産を相続させたい場合には、共同相続人間で遺産分割協議を行い、その遺産分割協議に基いた相続登記を申請します。

なお、『長期間相続登記等がされていないことの通知』を利用することにより、相続人の特定が容易となるだけでなく、相続登記を申請する際の提出書類の一部を省略できるため、この機会に手続きを行うことをオススメします。

長期相続未了土地の特例

法務局で調査された所有者不明土地には、長期相続登記未了であることの付記登記がなされます。当該付記登記がなされた土地については、相続登記を申請する際に、法定相続人情報の作成番号を提出することで、下記の書類の提出を省くことができる特例措置が設けられています。

■相続を証する戸籍・除籍・原戸籍謄本等
■相続人の現在戸籍
■物件を取得する相続人の住民票

※「法定相続人情報の作成番号」は 『長期間相続登記等がされていないことの通知』に記載されています。

 

相続放棄する

相続したとされる土地が、遠い親戚から相続したものである場合など、法務局から通知が届いて、はじめて相続の事実を知ったという場合には相続放棄できる可能性があります。

長年放置されている土地ということは、価値が低く、売却・処分するのが困難な土地というケースも少なくありませんので、不動産に特に興味がなく、相続登記の申請が面倒という場合には、相続放棄をしてしまうのもひとつの手段です。

ただし、相続放棄が可能な期間の判断には法律的・専門的知識が必要で、通知が届いた時には既に相続放棄ができる期限を過ぎてしまてっているというケースもあります。また、相続放棄が可能であったとしても、相続放棄をするには、通知を受け取った後、3ヶ月以内に相続放棄の手続きを行う必要がありますので、相続放棄を希望される場合には、相続の専門家に早めに相談することおすすめします。

 

おわりに

今回のコラムでは、法務局から届く『長期間相続登記等がされていないことの通知』とは何か、また、この通知が届いた場合には、どのように対応すべきなのか解説しましたが、いかがだったでしょうか。通知が届いた場合、相続登記の申請は法改正によって義務化されていますので、しっかりと対応することが大切です。特に、もし、相続放棄を選択される場合には、放棄できる期間は短いため、早めに対応する必要があります。通知が届いて対応にお困り・お悩みの方は、専門家に相談することをおすすめします。

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