家庭裁判所から「遺言書検認期日通知書」という通知が突然届くと驚かれる方も少なくありません。また、通知の中で特定の日時に裁判所に来所するよう記載されているが、仕事や家庭の事情で都合がつかないというケースもあるかと思います。今回のコラムでは、遺言書の検認とは何か簡単に解説するとともに、遺言書の検認期日に欠席したらどうなるのかについて解説したいと思います。
遺言書の検認について
遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、遺言者(遺言書を作成した人)が亡くなったことを知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、『検認』という手続きを請求しなければなりません。(公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度を利用している場合には、検認は不要です。)
『検認』とは、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続のことをいいます。
簡単にいうと、遺言書を保管している人や発見した人は、遺言書を書いた人が亡くなった場合には、家庭裁判所という公的な機関に、遺言書が確かにあったということと、その内容を確認してもらう手続きをしてもらう必要があるということになります。
また、検認は、相続人全員に、遺言書が存在するという事実と、その内容を知らせる役割も有するため、検認の申し立てがなされると、家庭裁判所より、「いついつに家庭裁判所で検認を行うので、来所してください」という通知が相続人全員に対して発せられることになります。この通知が「遺言書検認期日通知」となります。
なお、検認を怠ったり、検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で遺言書を開封したりすると、罰則の適用がありますので注意が必要です。
遺言書の検認について詳しくは
「第19回相続コラム 自筆の遺言書が見つかったらどうすべきかを弁護士が解説」をご覧ください。
検認期日に欠席したらどうなる?
検認という手続きは、あくまで遺言書の存在等を相続人に知らせ、その内容等を確認するための手続きなため、検認期日に欠席したからといって、相続権を失ったり、罰則・ペナルティが課せられるということはありません。
また、少し専門的なお話しにはなりますが、遺言書の検認は、あくまで遺言書の存在や内容を“形式的”に確認する手続きであるため、それによって遺言書の有効・無効が確定するわけではありません。ですので、仮に検認期日に欠席したからといっても、後に遺言書の有効性を争うことができなくなるというようなこともありません。
遺言書の内容を早く知りたいという相続人の方は、出席することをおすすめしますが、検認期日に欠席したことによりペナルティがあるわけではないのでご安心下さい。また、欠席する際に、欠席する旨の連絡等も特に必要ではありません。
ただし、検認を申し立てた人自身は検認期日を欠席することはできません。検認の申立人が、検認期日に遺言書を家庭裁判所に持参しないと、検認自体がそもそも不可能となってしまうからです。
もし、申立人が検認期日に欠席すると、出席した相続人に迷惑をかけるだけでなく、検認を怠ったとして、罰則の適用を受ける危険性がありますで、事前に検認の希望日を伝える際には、確実に出席できる日を選ぶことが重要です。
なお、検認に弁護士を代理人として出席させることは可能ですので、「遠方から他の相続人が集まってきてくれてる手前、欠席するわけにはいかない」というようなケースでは、弁護士に代理を依頼するという手段もあります。
おわりに
今回のコラムでは、遺言書の検認とは何か簡単に解説するとともに、遺言書の検認期日に欠席したらどうなるのかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。
検認の申立人以外の相続人には、突然検認期日の通知が届くというケースも少なくないため、出欠で悩む方や、欠席した場合に不利益を被らないか心配される方も少なくありません。今回のコラムがそのような方の不安解消につながるのではないかと思います。
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