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相続コラム

第170回相続コラム 遺言書が2通見つかった場合、どちらの遺言書が有効となるのか

遺言書は、残されたご家族同士の無用な争いを未然に防ぎ、相続手続きの負担を軽減することのできる非常に優れたツールです。しかし、その遺言書が複数見つかった場合、どちらの遺言書に従えばいいのでしょうか。今回のコラムでは、遺言書が複数見つかった場合、そのどちらの遺言書が有効となるのか解説したいと思います。

 

遺言書は複数作成することができる

意外に思われる方も少なくないと思いますが、実は、遺言書は複数作成することが可能です。法律上、「遺言書は1通に限る」という規定はないので、遺言書は何通作成しても、法律上、問題はありません。

残されたご家族の無用な混乱を避けるために、遺言書は1通にするのが一般的ですが、法律上は、複数遺言書を作成することも可能であり、その場合、原則として、どの遺言書も有効となります。

 

遺言書の内容が抵触した場合

作成された複数の遺言書は、それぞれの遺言書が、遺言書として満たすべき要件を備えている限り、どの遺言書も有効となるのが原則ですが、遺言書の内容が抵触する場合には、扱いが異なります。

複数の遺言書の内容が抵触(矛盾)する場合には、最新の遺言が優先され、古い遺言は撤回されたものとみなされます

例えば、ある人が、「自宅不動産は妻に相続させ、会社の株式は全て長男に相続させる」旨の遺言書を1月1日に作成し、次いで、「会社の株式は全て次男に相続させる旨」の遺言書を2月2日に 作成したとします。

その場合、会社の株式を誰に相続させるのかについて、1月1日付の遺言書と2月2日付の遺言書で矛盾・抵触することになります。抵触する部分の遺言については、後の遺言が、故人の最終意思に近いものとして有効となりますので、会社の株式については、次男に相続させる旨の遺言が有効となります。

なお、注意しなければならないのは、矛盾・抵触する内容は撤回されたものとして無効となりますが、遺言書全体が無効となるわけではないということです。矛盾や抵触のない遺言内容はそのまま有効となりますので、上記の例で言うと、自宅不動産を妻が相続することについては、遺言書間で特に矛盾・抵触はありませんので、そのまま遺言として有効となります。

 

遺言書の先後関係の判別

遺言書を作成するためには、その要件として日付の記載が要求されていますので、基本的に、全ての遺言書には日付の記載があります。そのため、遺言書の先後関係は、遺言書の作成日付を比較することで判断することになります。

なお、仮に、自筆証書遺言と公正証書遺言がのこされていた場合、公正証書遺言の方が、厳格な様式が求められるため、公正証書遺言が自筆証書遺言に優先するようにも思えますが、法律上、その優劣はあくまで日付の先後で決まります。遺言書の形式間で優劣は特にありません。

 

遺言書の日付が同じ場合

内容の抵触する複数の遺言書が同じ日付で作成されている場合には、遺言書の内容およびその他一切の事情を考慮し、遺言書の先後を決定します。

例えば、遺言書の日付が同一であったとしても、一方の遺言書に「前の遺言書の内容を撤回し、○○は△△に相続させる」などの記載があった場合に、その遺言書を最新のものと判断し、同記載部分を優先させるといったイメージです。また、遺言書の付言事項等から、どちらが最新の遺言書なのか判断できるケースもあります。

 

どうしても先後が判断できない場合

複数の遺言書の作成日付が同一で、 遺言書の内容およびその他一切の事情を考慮しても、先後関係がどうしてもわからないという場合、それぞれの遺言書の効力をどう考えるのかについては、諸説ありますが、一般的には、内容が抵触する部分についてはどの遺言も無効になると考えられています。

 

おわりに

今回のコラムでは、遺言書が複数見つかった場合、そのどちらの遺言書が有効となるのか解説しましたが、いかがだったでしょうか。複数の遺言書が見つかったとしても、直ちにどちらかの遺言書が無効となるわけではないので、遺言書の内容をよく確認し、各遺言書間で矛盾・抵触する内容がないか、矛盾抵触する部分がある場合には、どちらの遺言書が優先するのか、冷静に確認するようにしましょう。

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