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相続コラム

第186回相続コラム 相続登記義務化の罰則、誰が適用を受けるのか相続のパターン別に解説

2024年4月1日施行の改正法により、相続登記が義務化され、申請を怠った場合には罰則の適用があります。今回のコラムでは、相続登記の申請を怠った場合、具体的に誰が罰則の適用を受けるのか、相続のパターン別に解説してきたいと思います。

 

相続登記義務化と罰則

相続が発生すると、被相続人が所有していた不動産の所有権は、相続人へと移転します。所有権が移転していたとしても、権利の移転は外形からは判断できないため、それを公示するために、法務局で記録している登記簿に反映させる必要があります。相続による所有権の移転を法務局に申請し、登記を変更するのが相続登記というわけです。

相続登記を簡単に言うと、「相続による不動産の名義変更」となります。

この相続登記は、2024年4月1日より、法改正により義務化されたため、相続や遺言によって、不動産の所有権を取得した場合には、一定期間内に、所有権移転の登記を法務局に申請しなければなりません。この申請を怠ると罰則の適用があります。

具体的には、以下の期間内に申請する必要があります。

単独で相続した場合、法定相続分で登記する場合、遺贈で不動産を取得した場合は、「相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記を申請しなければなりません。

相続開始後、遺産分割協議を行い、遺産分割協議に基づいて不動産を取得する場合も「相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記を申請しなければなりません。

法定相続分で登記した後に、遺産分割協議を経て、法定相続分とは異なる割合で所有権を取得した際には、「その分割の日から3年以内」に登記申請する必要があります。

正当な理由なく、これらの申請を怠ると罰則があり、10万円以下の過料が科せられる場合があります。

相続登記義務化について詳しい解説は「第152回相続コラム 2024年4月1日から相続登記が義務化されました」をご覧下さい。

 

相続登記義務化の罰則は誰が科せられるのか

相続登記の申請を怠った場合には、罰則の適用があり、10万円以下の過料という制裁が科せられる場合があります。では、その過料は具体的に誰が科せられるのでしょうか。

罰則が科せられるのは、登記の申請義務があるにも関わらず、その申請を怠った者ですが、登記申請義務を負う者は、相続のケースによって異なりますので、以下、相続のパターン別に解説します。

 

遺言によって相続するケース

遺言によって不動産を相続した場合には、その遺言によって不動産を取得した者が相続登記の申請義務を負います。

ですので、遺言によって不動産を取得した相続人が、登記の申請を怠ると、罰則が適用される可能性があります。他方で、遺言によって、不動産を相続しないことになった相続人には、登記の申請義務はないため、罰則は適用されません。

なお、相続人以外の者が遺言によって不動産を取得した場合には、その遺言によって不動産を譲り受けた者が登記の申請義務を負います。

 

法定相続分で相続するケース

相続が発生し、遺言がない場合には、被相続人の遺産は法定相続分に従った割合で、相続人間の共有財産となるのが原則です。

被相続人が所有していた不動産についても、各相続人は法定相続分に従った割合で、不動産を取得(共有持分を取得)することになります。

相続人全員が、不動産を共有することになりますので、相続人全員が相続登記の申請義務を負い、申請を怠るとその全員が罰則の適用を受けることになります。

なお、相続人が1人で不動産を単独相続した場合には、その相続人が登記の申請義務を負います。また、相続放棄した相続人がいる場合には、その放棄をした元相続人は、登記の申請義務を負いません。

 

遺産分割協議によって相続するパターン

遺産分割協議を行い、その協議によって不動産を相続することになった相続人は、相続登記を申請する義務を負います。

他方で、遺産分割協議によって不動産を相続しないことになった相続人には、登記の申請義務はありません。

 

遺産分割協議が長期化する場合の注意点

上で解説したように、遺産分割協議によって相続するケースでは、その協議によって不動産を取得することになった相続人が相続登記の申請義務を負います。

ただし、相続開始後3年以内に遺産分割協議が整わない場合には、注意が必要となります。

相続開始後、遺産分割協議が成立するまでの間は、遺産は相続人間の共有状態となっているため、法形式上は、法定相続分に従った割合で各相続人が不動産を相続した格好になっています。

そして、相続人が遺産分割協議を行っているかどうかは、登記官や裁判所には不明ですので、相続開始後3年経過しても、遺産分割協議の結果に基く相続登記が申請されていない場合には、相続人全員に対して罰則が適用される可能性があります。

ですので、遺産分割協議が長期に及ぶようなケースでは、「相続人申告登記」という簡便な手段で罰則の適用を回避できる制度がありますので、その利用をオススメします。

相続発生により、一度、相続人全員が不動産を共有している状態になっているため、全ての相続人が相続登記の申請義務を負っていますので、一旦、法定相続分で相続登記を申請し、その後、遺産分割協議が整い次第、再度、同協議に基いて相続登記を申請することも当然可能ですが、そうすると、2度の登記申請が必要となってしまうため、手間と費用がかさんでしまいますので、おすすめはできません。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続登記の申請を怠った場合、具体的に誰が罰則の適用を受けるのか、相続のパターン別に解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続登記義務化の罰則は、相続のケースによって、誰が義務を負うのかが異なりますので、ケース毎に判断する必要があります。

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