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相続コラム

第28回相続コラム 認知症になる前に利用したい親子信託(民事信託)のススメ~メリット編

連続して親子信託についてコラムで解説していますが、今回のコラムでは、親子信託・民事信託には具体的にどんなメリットがあるのか解説したいと思います。

 

親子信託おさらい

 

親子信託とは

親子信託とは、簡単にいうと、親が子に対して、自分の財産を信じて託す契約を結ぶことをいいます。

信託契約を結ぶと、財産を運用管理・処分する権利とその運用管理から得られる利益を享受する権利とを分け、前者を信じられる人に託し、後者をご自身に残したり、配偶者などの他の者に渡すことができます。

親子信託の場合でいうと、親から財産を運用管理・処分する権利を子が譲り受け、親は運用管理から得られる利益を享受する権利をご自身に残しておくという信託契約を結ぶということになります。

 

親子信託とそれぞれの立場

親子信託を含む、民事信託では、財産の管理を託す人を委託者、財産を託される人を受託者、財産の管理によって利益を受ける人を受益者といいます。

親子信託では、財産の管理を託す委託者は「親」、託される受託者は「その子」、財産の利益を受ける受益者は「親」という構図になります。

親=財産を託す人=委託者
子=財産を託された人=受託者
親=財産の利益を受ける人=受益者

 

親子信託のメリット

では、親子信託を利用するとどんなメリットがあるのでしょうか。

 

成年後見制度に代わる柔軟な対応が可能

親が認知症を発症してしまった場合には、程度にもよりますが、法律上、財産を管理・処分するのに必要な意思能力を欠くと判断され、財産の管理処分や契約行為をご自身では行えなくなるので、成年後見人の選任が必要になります。

しかし、成年後見人は、弁護士などの専門家が選任されるなど、必ずしもご家族の意向に沿った者が選ばれるわけではありませんし、その報酬も毎月発生してしまいます。また、成年後見人は家庭裁判所に選任されるため、適宜報告の義務があったり、一定の行為には家庭裁判所の許可が必要など、柔軟な対応には不向きな側面があります。

親子信託の場合には、信託契約締結後、すぐに効果が発生するので、財産を託した委託者本人が、受託者の管理状況を元気なうちに見届けることができますし、ご自身で取り決めした信託契約の内容に沿って受託者が財産を運用管理するため、柔軟な資産運用が可能となります。

まとめると、家庭裁判所などの関与がなく、親子間で取り決めた内容に沿った柔軟な財産の運用管理が可能で、親が元気なうちは、子の管理内容を見届けることができるのも大きなメリットです。

 

高額な信託報酬が不要

親子信託の場合には、親が子に財産の管理を信託するため、財産管理をお願いするための費用(信託報酬)が不要になります。一般的に、信託銀行などに、財産の運用管理を依頼すると、高額な信託報酬が必要になりますが、親子信託の場合にはそのような費用は必要ありません。仮に必要になるとしても、支払う相手はご自身の子になりますので、一種の生前贈与と考えれば、実質的な負担はほぼありません。

 

遺言的機能を持たせることができる

親子信託では、信託契約の内容として、自身の死後についても取り決めを交わしておくができますので、一種の遺言的機能を持たせることができます。また、その内容に関しても、遺言のような厳格な形式が定まっているわけではないので、自由に決めることができます。

例えば、父親が子を受託者として財産管理の信託契約を結び、その管理運用から得られる利益の受益者を父親自身に設定し、自身の死後は、受益者を母親にするなどの信託契約を結ぶことも可能です。そうすることで、自身が認知症になっても子に財産管理を任せつつ、自身の死後は、母親のために財産管理を任せることが可能となります。

 

便利な親子信託を利用するには弁護士に相談を

親子信託を活用すると、超高齢化社会に対応すべく柔軟な財産管理が可能となります。信託契約は、その内容を自由に柔軟に決めることができますので、その内容自体を様々な法的視点から検証し、構築する必要があります。

当事務所では、親子信託・民事信託に強い弁護士が在籍しており、皆様ひとりひとりに合った、最適な信託契約の作成をサポートいたします。親子信託に興味のある方は、老後の備えとして、お気軽にご相談ください。

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