相続放棄をされた方、または、しようとしている方の中には、「自分は相続放棄をしたのだから相続税は無関係」と勘違いされる方も多いのですが、場合によっては、相続放棄をしたとしても相続税の申告が必要なケースがあります。今回のコラムでは、「みなし相続財産」と相続放棄の関係について解説したいと思います。
みなし相続財産とは
みなし相続財産とは、相続について定めた民法上では、相続財産としては扱われないものの、税金について定めた税法上は相続財産として取り扱われる財産のことをいいます。みなし相続財産は、本来、民法の定めによると相続財産ではないものの、税金の取り扱い上は、相続財産とみなされるため、額によっては相続税の申告が必要となってきます。
みなし相続財産の代表的なものとして、生命保険の死亡保険金や、亡くなった方が生前に勤めていた会社から支払われる死亡退職金などが挙げられます。
生命保険金や死亡退職金は、亡くなった方の遺産ではなく、故人が亡くなったことによって発生する受取人固有の権利です。つまり、本来は相続財産を構成するのものではありません。しかし、税法上は、相続財産とみなされ、相続税の課税対象として扱われます。
税法は、民法とは異なる目的、つまり、公平に税金を賦課徴収するという目的から定められているため、民法上の相続ではなくても、実質的に相続と同様の経済的効果のある財産の移転や権利の発生については、相続と同じように扱われるのです。
みなし相続財産と相続放棄との関係
生命保険金や死亡退職金は、相続財産ではなく、受取人固有の権利であるため、たとえ相続放棄をしたとしても、受け取ることができます。
生命保険金と相続放棄について詳しくは
「第52回相続コラム 相続放棄した場合に生命保険を受け取ることができるのか」
をご覧ください。
ただし、生命保険金も死亡退職金も、税法上は「みなし相続財産」として、相続財産と同様に扱われるため、受け取る額によっては、相続税の申告が必要となります。
また、相続税の申告の際には、相続人には、様々な控除や非課税枠がありますが、相続放棄をすると、相続人ではなくなるため、生命保険金や死亡退職金の非課税枠は使えなくなりますので注意が必要です。なお、相続税の基礎控除は相続放棄しても適用されます。
相続のことで悩んだら弁護士に相談
相続の問題については、法律的な問題だけではなく税金についての問題も複雑に絡んでくるケースが非常に多くあります。借金の額や保険金の額によっては、どのような方式で相続すべきか判断に迷うこともあるのではないでしょうか。相続のことで悩んだり、判断に困った場合には、専門家に相談することをおすすめします。
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