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相続コラム

第64回相続コラム 相続放棄を後から撤回、取り消しできるのか解説

前回のコラムでは、相続放棄の熟慮期間について解説しました。相続放棄の熟慮期間は3ヶ月と、非常に短い期間なため、相続放棄をされる場合には、迅速に行う必要があります。ただ、一度、相続放棄をしてしまうと、それを後から覆すのは非常に困難になりますので慎重さも求められます。今回のコラムでは、相続放棄の撤回・取り消しについて解説したいと思います。

 

相続放棄の撤回と取り消し

相続放棄は、原則として、撤回することはできません。

民法919条1項
相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。

容易に撤回することを認めてしまうと、債権者や他の相続人の地位が不安定となってしまうからです。債権者からすれば、借金などの債権を、誰に請求していいのか不明になってしまったり、他の相続人、とりわけ後順位の相続人からすれば、自分が相続人になるのか否かは先順位の相続人の相続放棄の有無によって変動するため、先順位の相続人の相続放棄が安易に覆ることをは容認したがたいところだからです。

ただし、特定のケースでは、例外的に「取消」ができる場合があります。

 

「取消」と「撤回」の違い

日常用語では、「取消」も「撤回」も似たような言葉として使われることも多いのですが、法律上は、両者は分けて使われます。

「取消」も「撤回」も、後から効力を失わせるという点では、共通ですが、効力を失わせなければならない問題=原因が生じた時期に違いがあります。取消しの場合は、最初から問題があった場合であり、撤回は問題が後で生じた場合です。

「放棄すべきではない原因が最初からあったにも関わらず誤って放棄をした」という場合が取消であり、「放棄後に放棄すべきではない事情が発生した」という場合が撤回にあたります。

例えば、遺産分割協議が面倒だと思ったので、相続放棄をしたが、後から気が変わって相続放棄を取りやめたいというのは撤回にあたり、原則として認められません。

未成年者は法定代理人(利益相反がある場合は特別代理人)の同意がないと、単独で相続放棄をすることはできないのですが、その同意を欠いたまま、相続放棄をしてしまったという場合には、取消にあたり、相続放棄の効力を覆すことができます。

 

相続放棄の取消

取消の原因がもとから存在していたようなケースでは、例外的に、相続放棄を取り消すことができます。例えば、以下のようなケースになります。

・詐欺や強迫されて相続放棄した場合
・未成年者が法定代理人の同意なく相続放棄をした場合
・未成年者と法定代理人の間に利益相反があり特別代理人の同意がない場合
・成年後見の審判を受けているのに本人が相続放棄をした場合

などが典型的なケースです。

その他にも、錯誤(重大な勘違い)によって相続放棄した場合にも、一定の条件をクリアすれば、取消しが可能なケースもありますが、その場合には、民法95条の要件を満たす必要があり、難しい法律的・専門的な判断が必要になりますので、弁護士に相談することを強くオススメします。

 

相続放棄の申述の取り下げ

相続放棄を撤回することは原則としてできませんが、「相続放棄の申述」を取り下げることは可能です。

相続放棄をするためには、家庭裁判所で申述し、それが受理される必要があります。そして、申述から受理までには若干の期間がありますので、正式に受理される前であれば、申述を取り下げることができます。

具体的には、家庭裁判所に相続放棄の申述を申し立てると、地域によって差はありますが、概ね1週間から2週間ほどで、裁判所から相続放棄照会書・回答書が郵送されます。それらの書面の返送前であれば、正式に裁判所に受理されていないので、申述を取り下げることが可能で、相続放棄の効力が発生するのを止めることができます。また、既に相続放棄照会書・回答書を返送してしまったとしても、すぐに家庭裁判所に連絡することで、申述を取り下げることができるケースもあります。

 

相続放棄で困ったら弁護士に相談

相続放棄は、熟慮期間が短いこともあり、手続きを焦ってしまい、すべきでない相続放棄をしてしまうというケースも少なくありません。また、相続放棄を後から覆すのは難しく、特に錯誤などを理由に取り消す場合には、専門の弁護士の力が必須と言っても過言でありません。

誤った判断を後から覆すのには、手間と時間がかり、費用も増えてしまいます。ですので、迷ったら、または不安・疑問が残る場合には、専門の弁護士に相談し、その後に相続放棄等を行うのが安心・安全といえます。

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