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相続コラム

第91回相続コラム 相続が発生したらまずは遺言書の有無を確認 – 遺言書の探し方

相続が発生し、遺産整理、相続手続きをする際に、まずは遺言書の有無を確認することが大切です。遺言書の有無によって、必要な手続きや、その後の手続きの流れが大きく変わってくるからです。「遺言書がそもそも存在するのかわからない」、「遺言書を書いたことは知っているけど、それがどこにあるのかわからない」、そんな方に向けて、今回のコラムでは、遺言書の探し方について解説したいと思います。

 

公正証書遺言は「遺言検索システム」を利用

遺言の形式として信頼度の高い公正証書遺言。近年、自筆証書遺言を作成される方も増加傾向にはありますが、日本で最も利用される頻度の高いのが公正証書遺言です。公正証書遺言を作成すると、その原本は公証役場に保管され、公正証書遺言が作成されたという情報がデータベースに登録されます。

公証役場には、上記のデータベースを元に遺言書を検索する「遺言検索システム」というものがあります。「遺言書の作成日」、「遺言者の氏名」、「公証役場の所在地」などを元に、遺言書の有無を検索することが可能です。

遺言書の有無について手がかりがないときは、最寄の公証役場に赴き、遺言検索システムを利用することで、公正証書遺言の有無を確認することができます。

ただし、「遺言検索システム」で検索可能な遺言は、平成元年以降に作成されたものに限ります。昭和以前に作成されたものは、データベースに登録されていないので検索することはできません。もっとも、30年以上も前に作成された遺言書を探すことは通常ありませんので、そこまで気にする必要はないかと思います。

 

遺言書保管事実証明書の利用

令和2年7月10日に、自筆証書遺言を法務局で保管する自筆証書遺言書保管制度(以下「遺言書保管制度」)というものが施行されました。

自筆証書遺言の有するデメリットを補い、遺言書の利用を促進するために創設された比較的新しい制度です。

遺言書保管制度について詳しくは
第81回相続コラム 自筆証書遺言を書くなら利用したい法務局の遺言書保管制度」をご覧ください。

この遺言書保管制度を利用した場合にも、公正証書遺言を作成した場合と同じように、法務局のデータベースに遺言書の保管に関する情報が記録されます。ですので、自筆証書遺言が保管されているかどうかは、最寄の法務局に赴き、「遺言書保管事実証明書」というものを交付請求することで確認することが可能です。

 

遺言書を探す際の注意点

「遺言検索システム」は公正証書遺言の存在の有無を確認できますが、自筆証書遺言の存在の有無を確認することはできません。また、自筆証書遺言の存在を確かめるために、法務局で「遺言書保管事実証明書」の交付請求をしたとしても、その証明書で確認できるのは、あくまで法務局で保管された遺言書の有無に限ります。

つまり、公証役場や法務局で保管されていない遺言書は、網羅的に検索する術がありませんので、心当たりのある場所等を、ひとつひとつ確認する作業が必要になります。

例えば、相続人以外の親族や近しい間柄の方に遺言書を預けていたり、普段からお世話になっている弁護士等の専門家に預けていたりする場合もあります。または、相続対策等で、銀行・信託銀行を利用していた場合には、その銀行等に預けている場合もあります。故人の自宅等の捜索も重要ですが、その際に弁護士や銀行等の名刺を発見した場合には、連絡して尋ねてみるのも大切です。

 

おわりに

今回のコラムでは、遺言書の探し方について解説しましたが、いかがだったでしょうか。遺言書は遺産整理・相続手続きの要となるものですので、その存在の有無はしっかりと確認したいところです。また、遺言書をこれからのこそうと考えている方は、相続人の方が苦労しないように、遺言書の存在をエンディングノートに記載したり、前回のコラムで解説した通知制度を活用することもオススメします。

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