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相続コラム

第123回相続コラム 遺言書保管制度における指定者通知の対象範囲等が拡大されます(令和5年10月2日)

自筆証書遺言書保管制度における指定者通知の対象範囲等が、令和5102日より、拡大されることとなります。具体的には、指定者通知の対象者の限定が解除され、また、通知の対象者を3名まで指定できることになります。今回のコラムでは、あらためて自筆証書遺言書保管制度および指定者通知について解説するとともに、 令和5102日から、通知の対象範囲等がどのように変更されるのか解説したいと思います。

 

自筆証書遺言書保管制度とは

自筆証書遺言書保管制度(以下「遺言書保管制度」)とは、その名が示すとおり、自筆証書遺言を法務局という行政機関が保管してくれる制度で、令和2710日に施行された比較的新しい制度です。

自筆証書遺言は、遺言としてはシンプルで利用しやすい形式なのですが、反面、紛失してしまったり、内容が改ざんされたりする危険性があります。また、相続が発生した場面では、公正証書遺言とは異なり、検認という面倒な手続きが必要となるのも大きな負担でした。

上記のような自筆証書遺言のデメリットを補い、より遺言書の利用が普及するように創設されたのが遺言書保管制度です。

遺言書保管制度を利用すると、作成した遺言書の原本は法務局で保管されることになるため、紛失したり、誰かに偽造・変造されるという危険性もなくなります。また、遺言書保管制度の創設に伴い、法律が改正され、同制度を利用した場合の自筆証書遺言の検認は不要となりました。

 

遺言書保管制度と指定者通知

遺言書を作成後、それを適切に保管することはとても重要ですが、保管以外にも、もうひとつ重要なことがあります。それは、「遺言書の存在自体を遺言執行者や相続人に知ってもらう」ということです。

遺言書をのこしていたとしても、その存在自体が、遺言執行者や相続人に知られていないと、遺言の内容を実現することができないからです。

遺言書を作成した際には、相続人等に遺言書の存在・所在を伝えておくか、または、エンディングノート等に遺言のことを書き記しておくのが一般的でしたが、遺言書保管所制度では、特定の手続きを踏むことで、便利な通知制度を利用することが可能です。

具体的には、遺言書保管制度を利用した際に、「遺言者が指定した方への通知(指定者通知)」というものの申出をしておくと、遺言作成者が死亡したときに、法務局から、あらかじめ遺言作成書が指定した相続人などに、遺言書が保管されている旨の通知がされるので、相続人等に遺言書の存在を予め伝えておかなかったとしても、「遺言書の存在に気付かない」というリスクを回避することができるのです。

 

指定者通知の対象範囲等の拡大

指定者通知の申出をする際に、誰に通知するかを遺言者が決めることになりますが、その通知対象者は、遺言執行者か推定相続人に限られています。

しかし、 令和5102日以降は、遺言執行者や推定相続人以外の者も通知対象者とすることが可能となります。

また、通知対象者として指定できるのは1名に限られていますが、こちらも令和5102日以降は、3名まで指定することができるようになります。

ちなみに、既に遺言書保管制度を利用し、指定者通知の対象者を1名指定している場合においても、令和5102日以降は、変更の届出により対象者を追加することができるようになります。

 

まとめ

令和5102日以降は、

・通知対象者が遺言執行者や推定相続人に限定されなくなります。
・通知対象者が1名から3名までとなります。
・既に通知対象者を指定している場合には、変更の届出により対象者を追加できるようになります。

参考:法務省HP
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
https://www.moj.go.jp/MINJI/10.html

 

おわりに

今回のコラムでは、あらためて遺言書保管制度および指定者通知について解説するとともに、 令和5102日から、通知の対象範囲等がどのように変更されるのか解説しましたが、いかがだったでしょうか。

手軽に作成できるのが強みの自筆証書遺言ですが、保管上の不安や検認の手間等の負担がありますので、それらの自筆証書遺言の弱点をカバーするのが、遺言書保管制度となります。

万全を期すには、公正証書遺言がベストですが、手間と費用をかけずに、自筆証書遺言を選択するなら、遺言書保管制度の利用を強くオススメします。

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