相続登記を申請する際には、様々な書類を提出することになりますが、それだけではなく、登録免許税と呼ばれる税金を納める必要があります。今回のコラムでは、相続登記申請時に必要となる登録免許税の計算方法ついて解説したいと思います。
登録免許税とは
登録免許税とは、登記申請時に国に納める税金のことをいいます。相続登記の申請も、相続による所有権の移転について登記を申請することになるため、登録免許税の納付が必要となります。
この登録免許税は、遺産を相続する際に納付する相続税とは全く別物ですので、注意が必要です。
登録免許税の計算方法
相続登記の登録免許税額は、以下の計算式で求めることができます。
登録免許税額=課税価格×0.4%
ただし、計算の結果、100円未満の端数が出た場合には、その端数を切り捨てます。
以下、詳しく解説していきます。
課税価格
課税価格は、相続登記を申請する不動産の固定資産評価額のうち1,000円未満の端数を切り捨てた額となります。
例えば、不動産の固定資産評価額が、“30,001,234円”の場合には、1,000円未満の“234円”を切り捨てますので、課税価格は“30,001,000円”となります。なお、仮に、固定資産評価額が1,000円未満である場合、課税価格は1,000円となります。
固定資産評価額は、不動産の『固定資産評価証明書』等を取得することで、調べることが可能です。また、相続登記を申請する際には、『固定資産評価証明書』等を添付情報として提出する必要があります。
『固定資産評価証明書』について詳しくは、「第157回相続コラム 相続登記を申請する際に提出する固定資産評価証明書について解説」をご覧ください。
課税価格に税率を乗じる
相続登記の登録免許税額は、上で解説した課税価格に0.4%を乗じて求めることができます。
例えば、課税価格が3,000万円の場合、登録免許税は3,000万円×0.4%=12万円となります。
計算の結果、100円未満の端数がある場合には、端数を切り捨てます。計算の結果が1,000円未満である場合には、登録免許税を1,000円とします。
例えば、課税価格が“30,001,000円”の場合、0.4%をかけると、“120,004円”となりますが、100円未満の端数は切り捨てるので、登録免許税額は120,000円となります。
なお、相続人以外の者が遺贈によって不動産を取得した場合には、税率は1000分の4(0.4%)ではなく、1000分の20(2%)となります。
相続登記の登録免許税の免税措置
相続登記の登録免許税について、適用期間は令和7年3月31日までとなっていますが、以下の2つの免税措置が設けられています。以下のいずれかに該当する場合には、免税措置を受けることが可能です。
1.相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合
個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされています。
例えば、不動産の名義人であるAさんが亡くなり、BさんがAさんの不動産を相続したものの、Bさんが相続登記を申請する前に亡くなり、最終的にBさんの相続人であるCさんが不動産を相続したという場合に、CさんがBさんを名義人とする相続登記を申請する際には、登録免許税が免税となります。
2.相続した土地の価格が100万円以下の場合
相続した土地の価格が100万円以下の場合には、相続登記の登録免許税が免税となります。
なお、上記1および2のケースに該当し、登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を登記申請書に記載する必要があります。
詳しくは、法務局ホームページをご覧ください。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
おわりに
今回のコラムでは、相続登記申請時に必要となる登録免許税の計算方法ついて解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続登記を申請する際に納付する登録免許税は、その額を法務局の登記官が計算してくれるわけではないので、ご自身で登記を申請する場合には、税金の計算も含めて全てご自身で行う必要があります。ご自身で登記を申請し、登録免許税を計算する際には、本コラムが参考になるかと思います。
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