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相続コラム

第190回相続コラム 相続した土地はいくらなのか、その評価額を調べる方法

相続した土地がいくらなのか、その評価額を知りたいという場面は多々あります。土地を売却する際はもちろん、相続税を申告する際や、土地の名義を変更する際にも、登録免許税を納付する都合上、その評価額を調査する必要があります。

今回のコラムでは、相続した土地はいくらなのか、その評価額を調べる方法について解説したいと思います。

 

相続した土地の評価額と評価する目的の関係

相続した土地がいくらになるのか、それを判断するための絶対的な基準はありません。そして、土地の評価方法にはいくつか種類があり、評価方法が異なれば、当然、評価額も異なります。

重要となるのは、何のために土地を評価するのか、その目的を明確にし、目的に適した評価方法を用いるということです。

例えば、相続税を申告する際や名義変更に必要な登録免許税を納付する際には、なるべく不動産の価額を安く評価し、納税額を節約したいと思うのが心情です。しかし、税金を計算する際に、自身の判断で勝手な評価方法を用いて不動産を評価することは認められていませんので、法令で定められた評価方法によって価額を算出する必要があります。

以下、土地を評価する目的ごとに、その評価方法を解説していきます。

 

相続税の申告をするケース

 

相続税評価額

相続税は公平に課税される必要があるので、国税庁が財産評価基本通達という通達で、相続した土地の評価方法を定めています。

つまり、相続税を申告するために、相続した土地の評価額を調べる場合には、財産評価基本通達で定められた評価方法に従って、土地の価額を評価する必要があるということです。

財産評価基本通達に基づいて評価した財産の価額を『相続税評価額』と言います。

 

相続税評価額の算定方法

土地の相続税評価額を算出する方法は、主に以下の2つの方法に分かれます。

1.路線価方式
2.倍率方式

相続税評価額を求めるためには、土地の所在地や種類(宅地、農地、山林など)によって適切な評価方法を使用します。

 

路線価方式について

路線価方式は、主に宅地や市街地にある土地に使用される評価方法です。国税庁が毎年公開している「路線価図」を使用して路線価を確認し、路線価に土地面積を乗じて相続税評価額を算出します。

例えば、路線価図に記載された道路が、1㎡あたりの価格が10万円とされている場合、その路線価は「10万円」となります。そして、仮に土地の面積が100㎡だとすると、相続税評価額=路線価×土地面積=10万円×100㎡=1,000万円となります。

ただし、土地の形状や間口等により、様々な補正がかかったりする場合がありますので、正確な相続税評価額を知りたい場合には、専門の税理士に相談することをオススメします。

【国税庁 | 路線価図・評価倍率表】
https://www.rosenka.nta.go.jp/

 

倍率方式について

路線価が設定されていない地域の土地の評価には倍率方式を使用します。倍率方式は、土地の固定資産税評価額に、相続税の「評価倍率」を乗じて算出する方法です。評価倍率は国税庁の「路線価図・評価倍率表」を確認することで調べることができます。

例えば、相続した土地の固定資産税評価額が1,000万円であり、評価倍率が1.2倍のケースでは、
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率=1,000万円×1.2=1,200万円となります。

 

相続した不動産の名義変更をするケース

 

固定資産税評価額

相続した不動産の名義変更を専門用語で相続登記と言います。相続登記を申請する際には、登録免許税と呼ばれる税金の納付が必要となります。

登録免許税は税金であるため、相続税の申告の場合と同様に、法令により課税対象となる財産の評価方法が定められています。そして、相続登記を申請するための土地の評価額(課税価額)は「固定資産税評価額」となります。

そのため、相続登記を申請する場合は、相続した土地の「固定資産税評価額」を調べる必要があります。

 

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は、「課税明細書」または「固定資産評価証明書」を確認することで調べることができます。

 

課税明細書の確認

不動産を所有していると、固定資産税という税金が課せられます。毎年4~6月頃に自治体から送付される固定資産税の納税通知書に、固定資産税の算定根拠となる「課税明細書」が同封されてきます。課税明細書には不動産の評価額が記載されているため、これを確認することで固定資産税評価額を把握できます。

 

固定資産評価証明書の確認

固定資産評価証明書は、市区町村の固定資産課税台帳に登録されている不動産の物件価値(固定資産税評価額)を証明する文書です。前述の「課税明細書」は、この固定資産課税台帳をもとに計算され、発行されています。

固定資産評価証明書には、土地や建物の面積、所在地などの情報とともに固定資産税評価額が記載されています。固定資産評価証明書は、市町村役場で発行できますが、発行の際には手数料として数百円程度かかります。

 

土地を売却するケース

 

実勢価格

相続した土地を売却する場合には、相続税における『相続税評価額』や登録免許税における『固定資産税評価額』のような公の評価方法が定まっているわけではありません。

ですので、実際に売れるかどうかを度外視するならば、どのような基準で土地を評価しようが問題はありません。

ただ、通常、誰も買わないような価額を算出しても意味がないため、『実勢価格』を参考に売却価額を算出するのが一般的となります。

実勢価格とは、実際に市場で売買される際の価格、つまり時価(マーケット価格)のことを指します。実勢価格は、売り手と買い手の合意によって成立する価格ですので、公的な評価ではなく、現実の取引を反映した価格となります。ですので、時期や景気、近隣環境、取引当事者の事情など、様々な要素によって変動するという特徴があります。

 

実勢価格の調べ方

実勢価格を調べる方法は多岐にわたります。

最も手軽に調べる方法として、インターネットを活用することが挙げられます。例えば、国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」や不動産ポータルサイトを確認し、過去に同様の物件がどのような価格で取引されたかを把握することで、現在の相場を見極める手助けになります。

また、公示価格や基準地価等の公表されている土地評価額をもとに、実勢価格を算出する方法もあります。

ご自身で調べる以外にも、不動産会社に査定を依頼するという方法もあります。地元の市場に詳しい不動産業者に査定を依頼することで、物件の特性や周辺環境を踏まえた実勢価格を知ることができます。

 

遺産分割するケース

遺産分割協議は、相続人の協議によって遺産の分け方を決めるものであり、相続人同士で合意を形成できるのならば、どのような評価方法を用いて不動産を評価しても問題はありません。

実勢価格や相続税評価額で用いる路線価で評価したり、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼したりすることもあります。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続した土地はいくらなのか、その評価額を調べる方法について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

今回のコラムのポイントは、相続した不動産の評価方法にはいくつか種類があり、何のために評価するのか、目的を明確にし、その目的に適した評価方法を用いることが重要ということです。

「相続した土地がいくらなのか、その評価額を知りたい」という場合には、本コラムを参考に、目的に合った評価方法で評価額を調査して頂ければと思います。

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