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相続コラム

第194回相続コラム 新NISA時代の相続|NISA口座と相続の関係をわかりやすく解説

新NISA制度が始まってからしばらく経ち、NISAを利用して株式や投資信託を運用する方は年々増えています。身近な制度になった一方で、「もしNISAを使っていた家族が亡くなったらどうなるのか」「相続ではどう扱われるのか」といった点は、あまり知られていません。

実は、NISAは生前と相続とでルールが大きく変わる制度です。相続の場面では、「非課税」という言葉だけが一人歩きし、誤解が生じやすいのも特徴です。

今回のコラムでは、NISAの基本を簡単に押さえたうえで、相続が発生したときに何が起こるのかを、できるだけわかりやすく整理していきます。

 

そもそもNISAとはどのような制度か

NISAとは、一定の範囲内で投資によって得た利益が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託で利益が出ると、約20%の税金がかかりますが、NISA口座を通じて運用した場合には、この税金がかかりません。

新NISAでは、制度が恒久化され、非課税で運用できる枠も拡充されました。その結果、老後資金づくりや資産形成の手段として、NISAを利用する方は幅広い年代に広がっています。

ただし、NISA口座は誰でも自由に使い回せるものではなく、「一人につき一口座」「本人専用」という性質を持っています。この点が、相続の場面で重要な意味を持つことになります。

 

NISA口座そのものを相続することはできません

相続が発生すると、「NISA口座はどうなるのか」「家族が引き継いで使えるのか」と疑問に思われる方は多いでしょう。しかし結論から言うと、NISA口座そのものを相続することはできません

NISA口座は、あくまでその人個人のために設けられた特別な口座です。そのため、口座の名義人が亡くなった時点で、NISA口座としての役割は終了します。配偶者や子どもが、そのまま同じ口座を使い続けることはできません。

「非課税で運用できる口座だから、相続すればお得なのでは」と考えてしまいがちですが、この点は制度上、はっきりと区別されています。

 

NISAの非課税はいつまで?亡くなった後の扱い

NISAでの運用益が非課税になるのは、いつまでなのでしょうか。この点も、相続では非常に重要なポイントです。

非課税で運用できるのは、NISA口座の所有者が亡くなった日までです。亡くなった後に生じた値上がり益や分配金については、NISAの非課税の対象にはなりません。

相続では、「死亡日」がさまざまな基準日になります。NISAにおいても同様で、非課税が適用されるかどうかは、死亡日を境に区切られます。この点を知らないと、「相続手続きが終わるまで非課税だと思っていた」という誤解が生じやすいため、注意が必要です。

 

NISAで保有していた株式や投資信託はどうなるのか

では、NISA口座で保有していた株式や投資信託そのものは、相続ではどう扱われるのでしょうか。

相続が発生すると、NISA口座内の資産は、いったん被相続人名義の特定口座や一般口座に移されます。NISA口座のまま保有し続けることはできませんが、資産そのものが消えてしまうわけではありません。

その後、遺産分割などの手続きを経て、最終的には相続人それぞれの証券口座に引き継がれます。このとき、相続人が証券口座を持っていない場合には、新たに口座を開設する必要があります。

重要なのは、NISA口座という「非課税の器」は引き継げないものの、中身である株式や投資信託は、通常の相続財産として引き継がれるという点です。

 

相続人自身のNISA口座に移すことはできる?

次に多い疑問が、「相続した株式や投資信託を、自分のNISA口座に入れ直すことはできないのか」という点です。

結論としては、相続によって取得した株式や投資信託を、そのまま相続人自身のNISA口座に移すことはできません。NISA口座に入れられるのは、原則として、その年の非課税枠を使って新たに購入した資産に限られます。

つまり、相続によって引き継いだ資産は、相続人の特定口座や一般口座で保有することになります。「NISAの非課税枠も一緒に相続できる」と誤解されやすい点ですが、制度上は明確に否定されています。

 

NISAの資産にも相続税はかかります

NISAは「非課税」という言葉が強く印象に残る制度ですが、相続税まで非課税になるわけではありません。この点も、非常に誤解が多いポイントです。

NISA口座で保有していた株式や投資信託は、相続財産として相続税の課税対象になります。他の預貯金や有価証券と同様に、相続税の計算に含めて申告する必要があります。

生前にどれだけ非課税で運用していたとしても、相続の場面では、相続税という別のルールが適用されることになります。「NISAだから相続税はかからない」と思い込んでしまうと、申告漏れなどのトラブルにつながる可能性があるため、注意が必要です。

 

おわりに

NISAは、生前の資産形成においては非常に有用な制度ですが、相続の場面では、考え方を切り替える必要があります。NISA口座そのものは相続できず、非課税で運用できるのも亡くなった日までです。一方で、NISAで保有していた資産自体は、通常の相続財産として引き継がれ、相続税の対象にもなります。

こうした基本を知っておくだけでも、相続の際の混乱は大きく減らせます。NISAを利用している方、あるいはご家族がNISAを利用している場合には、早めに相続の視点から整理しておくことが、将来の安心につながります。

NISAを含む相続の手続きは、「何から手を付ければよいのか分からない」という不安を抱えやすいものです。制度の基本を知っていても、ご家庭の状況によって取るべき対応は異なります。当事務所では、相続に関するご相談を数多くお受けし、一つひとつのケースに寄り添ったサポートを行ってきました。まだ具体的な手続きを進める段階でなくても構いません。疑問や不安を整理するところから、無料相談・初回相談をご利用ください。

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