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相続コラム

第196回相続コラム 未支給年金とは何か?相続財産になるのかを弁護士がわかりやすく解説

ご家族が亡くなった後、年金事務所から「未支給年金」という言葉を聞いて戸惑われる方は少なくありません。「それは遺産なのですか?」「相続人で分ける必要がありますか?」といったご質問を、相続のご相談の中でよくお受けします。

未支給年金は、相続と関係がありそうでいて、実は少し性質の異なるお金です。今回は、相続専門の弁護士の立場から、できるだけわかりやすく、その仕組みと注意点をお伝えします。

 

未支給年金とは何か

まず、未支給年金とは何か、という点から確認してみましょう。

未支給年金(みしきゅうねんきん)とは、年金受給者が亡くなった時点で、まだ受け取っていない(支給されていない)年金のことです。

年金は後払いであり、かつ、亡くなった月の分も支給対象となるため、基本的には常に未支給年金が発生することになります。

 

未支給年金が発生するメカニズム

公的年金は、原則として、偶数月の15日に、支給月の前月と前々月の支給分の合計が振り込まれる後払いとなっています。例えば、2月分・3月分の年金が4月15日にまとめて支払われる、といった仕組みです。

したがって、仮に受給者の方が4月10日に亡くなった場合、2月分・3月分の年金がまだ振り込まれていないはずなので、その部分が未支給となります。また、亡くなった月の年金も(4月分)支給対象であり、その支給日は6月15日なので、こちらも未支給となります。

 

未支給年金は相続財産になるのか

未支給年金をめぐる問題を理解するのに、ここが最も重要なポイントとなります。

結論から言うと、未支給年金は原則として相続財産にはなりません。つまり、遺産分割の対象ではないということです。

多くの方は、「亡くなった人がもらうはずだったお金なのだから、当然、遺産になるのではないか」と考えます。しかし、法律上はそのようには扱われていません。

未支給年金は、亡くなった方の財産をそのまま相続人が引き継ぐ、という構造ではなく、一定の遺族に対して法律が特別に請求権を認めている制度と考えられています。言い換えれば、「亡くなった方の財産」ではなく、「遺族の側に認められた給付を受ける権利」なのです。

この点については、最高裁判所も、未支給年金は相続財産ではなく、受け取る遺族の固有の権利であるという判断を示しています。実務もこの考え方に従っています。

したがって、未支給年金は原則として遺産分割協議の対象にはなりません。

 

誰が受け取ることができるのか

では、誰が未支給年金を受け取れるのでしょうか。

実は、未支給年金を受け取れる人は法律で順番が定められています。配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹という順位があり、さらに「亡くなった方と生計を同じくしていたこと」が要件とされます。

ここで注意が必要なのは、「相続人」と「未支給年金を受け取れる人」が必ずしも一致しない、という点です。

たとえば、法定相続人であっても、生計を同じくしていなければ受け取れない場合があります。逆に、相続放棄をした人であっても、要件を満たせば未支給年金を受け取ることができる場合があります。未支給年金が相続財産ではない以上、相続放棄の効力は直接及ばないからです。

このあたりは誤解が多く、実際のご相談でも混乱が生じやすい部分です。

 

手続きと期限

未支給年金を受け取るためには、年金事務所等で請求手続きを行う必要があります。自動的に振り込まれるわけではありません。

また、請求には時効があり、原則として5年以内に手続きをしなければなりません。葬儀や相続手続きに追われているうちに時間が経ってしまうこともありますので、早めの確認が大切です。

 

よくあるトラブル

未支給年金をめぐっては、思わぬトラブルが生じることもあります。

典型的なのは、「それは遺産だから分けるべきだ」と他の相続人から主張されるケースです。しかし、前述のとおり、未支給年金は原則として遺産ではありません。法律上は、受給権者となる人の固有の権利です。

もっとも、受け取った人が道義的な配慮から分配に応じることはあり得ますが、それはあくまで当事者間の合意の問題です。法的に当然に分けなければならない、というものではありません。

また、「生計を同じくしていたかどうか」をめぐって争いになることもあります。別居していたが仕送りをしていた場合はどうか、施設入所中だった場合はどうか、といった具体的事情によって判断が分かれることもあります。

 

未支給年金請求権の法的性質と相続放棄

少し踏み込んだ論点として、未支給年金の法的性質があります。

先に触れたとおり、裁判例はこれを相続財産とは捉えていません。亡くなった方の権利義務をそのまま承継するのではなく、法律が一定の遺族に対して新たに給付請求権を認める構造と理解されています。

そのため、相続放棄をした場合でも、未支給年金の受給要件を満たしていれば、受け取ることができると解されています。この点は、一般の方にはあまり知られていませんが、実務上は重要なポイントです。

相続放棄を検討している方にとっては、未支給年金の扱いを誤解すると不利益につながる可能性があります。

 

おわりに

未支給年金は、一見すると「亡くなった人のお金」です。しかし法律上は、相続財産とは異なる特別な性質を持つ給付です。

遺産分割の対象にはならないこと、受け取れる人が法律で定められていること、そして相続放棄との関係が通常の遺産とは異なること。これらを正しく理解しておくことが大切です。

相続手続きの中では、預貯金や不動産だけでなく、このような周辺的な問題が思わぬ紛争の火種になることがあります。未支給年金を含め、相続全体の整理でお悩みの際は、早い段階で専門家にご相談いただくことをお勧めします。

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