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相続コラム

第27回相続コラム 認知症になる前に利用したい親子信託(民事信託)のススメ~基礎編

前回のコラムでは、なぜ認知症に対する備えとして、親子信託が注目されているのか解説しましたが、今回のコラムでは、親子信託でとはどのようなものなのか解説したいと思います。

 

親子信託とは

そもそも親子信託とはなんなのでしょうか。

親子信託とは、簡単にいうと、親が子に対して、自分の財産を信じて託す契約を結ぶことをいいます。

少し専門的な話をすると、例えば、不動産を所有している場合には、法律上、その不動産に対する所有権があり、その中身として、不動産を自由に管理・処分する権利(運用管理する権利)があり、その運用管理の結果得られた利益を享受する権利(利益を享受する権利)があります。

信託契約を結ぶと、財産を運用管理する権利とその運用管理から得られる利益を享受する権利とを分け、前者を信じられる人に託し、後者をご自身に残したり、配偶者などの他の者に渡すことができます。

親子信託の場合でいうと、親から財産を運用管理する権利を子が譲り受け、親は運用管理から得られる利益を享受する権利をご自身に残しておくという信託契約を結ぶということになります。

このような親子信託契約を結んでおくことによって、親が元気なうちは、財産をどのように管理運用するか親が子を監督しながら子が運用し、万が一、親が認知症を発症した場合には、子が自身の運用管理する権利を行使し、そのまま親から託された財産を管理し、その利益を親が享受するという格好になります。

つまり、認知症を発症し、自身では財産を管理できなくなったとしても、成年後見人などを選任しなくても、そのまま財産管理を子に任せることが可能となるのです。

 

親子信託の基本用語

親子信託を含む、民事信託では、財産の管理を託す人を委託者、財産を託される人を受託者、財産の管理によって利益を受ける人を受益者といいます。

親子信託では、財産の管理を託す委託者は「親」、託される受託者は「その子」、財産の利益を受ける受益者は「親」という構図になります。

親=財産を託す人=委託者
子=財産を託された人=受託者
親=財産の利益を受ける人=受益者

 

親子信託を活用するには

親子信託を活用する際に、最も大切なことは、元気なうちに対策するということです。親子信託を利用するには、親子信託契約という契約行為が必要なため、既に認知症等を発症している場合には、その契約自体ができなくなってしまうからです。

今回のコラムでは、親子信託の基礎ということで、簡略化した形でお話を進めてきましたが、信託契約の内容を工夫することで、柔軟に様々な管理体制、運用体制を築くことが可能です。

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