法定相続情報証明制度とは
不動産の名義変更や銀行口座の凍結解除など、相続に関する手続きを進める際に、誰が相続人であるかを証明するための書類の提出を求められることが多くあります。誰が相続人であるかを証明するためには、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本と除籍謄本を集めることになるのですが、集めた書類を一度提出してしまうと、それが返却されるまで他の手続きに利用できなかったり、また返却されなかった場合には、再度、戸籍謄本等を集める必要があり、手間と費用がかかります。
そのような負担を軽減するために、平成29年に創設されたのが「法定相続情報証明制度」になります。
法定相続情報証明制度とは、大量の戸籍を簡素化した相関関係図の形にして、誰が相続人であるかを証明する証明書を、法務局という公的な機関で発行してもらえる制度のことです。
一度手続きを踏んで法定相続情報一覧図を作成すると法務局で公的な証明書を無料で発行してもらうことが可能となるため、相続人の書類準備の負担軽減を図ることができます。つまり、大量の戸籍謄本等を集めて提出する代わりに、法定相続情報一覧図を提出することで、誰が相続人であるかを証明する書類に代えることができます。
法定相続情報証明制度まとめ
法定相続情報証明制度は、法務局に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出することによって、法務局の登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。この法定相続情報一覧図の写しを利用することで、相続手続きの際に、一々、戸籍謄本等の束を何度も提出する手間を省けます。
参考:法務省HP
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
法定相続情報一覧図-見本
法定相続情報一覧図を利用する主な手続き
・不動産の名義変更(相続登記)
・被相続人名義の銀行口座の凍結解除
・相続税の申告手続き
・有価証券の名義変更手続きなと
銀行口座の凍結解除については、金融機関毎に取り扱いが異なり、法定相続情報証明制度に対応していないケースもあるため、個別に窓口等で確認する必要があります。
法定相続情報証明制度の利用方法
1.必要書類を準備します。
・被相続人の戸籍謄本
→出生から死亡時までの連続した戸籍謄本及び除籍謄本
・被相続人の住民票の除票
→被相続人の最後に住んでいた場所がわかる書面
・相続人の戸籍謄抄本
→相続人全員の戸籍謄抄本を用意します
2.法定相続情報一覧図を作成します。
被相続人の戸籍の記載からわかる相続人の関係図を一覧にした相関図を作成します。
相関図の書き方については、法務省ホームページに様式見本があるのでそちらを参考に作成すると便利です。
参考:法務省HP
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html
3.申請書の提出
上記の必要書類と作成した法定相続情報一覧図と合わせて、申請書を法務局に提出します。
4.登記官による確認
申請が行われると、作成された相続の相関図(法定相続情報一覧図)が法務局で保管されます。認証文つきの法定相続情報一覧図の写しの交付を請求できるようになります。
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