何回かのコラムに分けて、「遺産分割」について解説していますが、似た用語として、「遺産整理」や「遺品整理」などの言葉があります。今回のコラムでは、相続に関するそれぞれの用語を、わかりやすく整理したいと思います。
遺産整理とは
「遺産整理」という用語は、実は法律上の用語ではないため、明確な定義はありません。一般的に、遺産整理という用語は、相続財産=遺産として何があるのか洗い出す遺産調査、その遺産を誰が相続するのか調べる相続人調査、相続人間で遺産を分配する遺産分割協議などを含む、相続に関する手続き全般を指します。
遺産整理の具体的内容
遺産整理の具体的な内容は、一般的に次のような手続きを指します。
遺産調査
故人の遺産を整理し、財産目録を作成します。
相続人調査
誰が相続人なのか、後の遺産分割協議のために、故人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、調査する。
遺産分割協議
相続人全員で、遺産の分配方法や内容を決定する手続き。
遺産分割の実行
遺産分割協議で合意された内容に基き、遺産を分配し、名義変更等の手続きを行う。
相続税の申告
相続税の申告が必要な場合には、管轄する税務署へ相続税の申告を行う。
遺産整理について詳しくは、
「第23回相続コラム 相続の際に必要となる遺産整理とは何か 手順やポイントを弁護士が解説」をご覧ください。
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、相続人全員で、誰がどの遺産をどのくらい相続するのか、遺産の分け方を決める協議のことをいいます。
遺言がなければ、どの遺産を誰がどのくらいの割合で相続するのか不明なため、相続人間で協議を行い、決める必要があります。それが遺産分割協議です。正確には、相続発生と同時に、法律上は、遺産は原則的に、相続人間で「共有」状態となるのですが、共有状態のままでは利用が難しかったり処分が困難になるため、最終的な帰属を決めることになります。
「遺産分割(協議)」は、「遺産整理」に必要な手続きのひとつという関係にあります。
遺産分割協議について詳しくは
「第38回相続コラム 基本から解説する遺産分割協議とは何か」をご覧下さい。
遺品整理とは
「遺品整理」という用語も、法律上の用語ではないため、明確な定義はありませんが、一般的に、故人が生前に使用していた遺品を整理・処分することを指します。
「遺品」には、広い意味では、預金通帳や有価証券や貴金属など、それらを整理・処分する(相続人間で分配する)には遺産分割協議などの法的な手続きが必要なものも含まれますので、その限りにおいては「遺品整理」と「遺産整理」は一部重なります。しかし、一般的に、遺品整理とは、遺産分割協議などが必要となるような金銭的価値の高い財産以外の、故人の身の回りのものや、日常的に使用していたものの整理を指します。
遺品整理では、客観的には財産的な価値は低かったとしても、故人の思い出の品など、身内にとっては価値のあるものもありますので、それらを形見分けしたり、不要なものは処分したりすることになります。
遺産整理、遺産分割協議、遺品整理の専門家
遺産整理には、様々な法的な手続きが絡んでくるため、その手続きに適した専門家に依頼するのが一般的です。
例えば、遺産分割協議の内容を相談したり、法的な問題を解決したい場合には、弁護士に相談し、その結果、不動産の名義変更が必要な場合には司法書士へ依頼し、相続税の申告については税理士に相談するなどです。
各専門家の事務所によっては、それらを一つの窓口で総合的にサポートしてくれる事務所もありますので、「いちいち別個に相談するのは面倒だ」という方は、そのような事務所に依頼するのがスムーズです。
遺品整理については、最近、様々な遺品整理業者がありますので、遺品整理専門の業者に依頼することになります。ただ、遺品整理の際には、不用品に紛れて高価な品があったり、また、重要な個人情報が含まれている場合がありますので、注意が必要です。
当事務所は、弁護士・司法書士・行政書士資格のトリプルライセンスによるワンストップサービスを提供しておりますので、遺産整理でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。相続問題についての相談は、初回無料で、時間制限も設けていないので、安心してご相談頂けます。