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相続コラム

第80回相続コラム 安心確実な遺言なら公正証書遺言がおすすめ

前回のコラムでは、遺言として最もポピュラーな自筆証書遺言について解説しました。今回のコラムでは、代表的な遺言の方式として自筆証書遺言と双璧をなす公正証書遺言について、メリット・デメリットを踏まえつつ解説したいと思います。

 

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人の関与のもと、公正証書という形式でのこす遺言をいいます。そもそも公正証書とは、法務省より任命された公証人という法律の専門家が作成する公文書になるため非常に強い法的効力があります。また、作成時には、公証人のチェックが入るため、形式的な不備による無効等のリスクを限りなくゼロに近づけることができます。

公正証書遺言は、無効となるリスクが低く、信頼度の高い遺言となるため、「確実に遺産をのこしたい」という強い想いがある場合に、よく選択される遺言の形式といえます。

 

公正証書遺言のメリット

 

法的に無効となりにくい

公正証書遺言の最大のメリットは、前述のとおり、信頼度の高い遺言をのこせるという点です。公証人関与のもとで作成されるため、法律的な不備によって無効となるリスクはほぼゼロです。

 

遺言書を紛失したり改ざんされるリスクがない

遺言書は、作成後、それをいかに保管するかということが実は大切になります。大切に保管していたつもりでも、何らかの原因で紛失してしまったり、認知症を発症し、保管場所を失念してしまったというケースもありえます。また、見つかり易い場所に保管していおくと、破棄されたり、改ざんされる危険性があります。

その点、公正証書遺言を作成すると、その原本は公証役場に保管されるので、遺言書が破棄されたり、改ざんされるという心配がありません。

 

検認が不要

相続発生後、速やかに遺言の内容を実現するためには、検認の手続きはなるべく避けたいところです。公正証書遺言は、公証人関与のもとに作成される遺言のため、家庭裁判所の検認が不要となります。相続手続き、遺産整理をスムーズに行うためには、公正証書遺言または自筆証書遺言を遺言保管制度を利用して保管することをおすすめします。

検認について詳しくは
第19回相続コラム 自筆の遺言書が見つかったらどうすべきかを弁護士が解説」をご覧ください。

 

字が書けない、病気の方でも作成可能

自筆証書遺言は、法律上、全文を自書することが要求されているため、病気などにより手が不自由な方が作成するのは困難です。

公正証書遺言の場合には、遺言自体は公証人が作成してくれるため、文字が書けなくても、遺言の内容を公証人に伝えることができれば作成することが可能です。また、仮に、病気や怪我等で、出歩くことが難しい場合でも、公証人に自宅や病院に出張してもらうことで、遺言を作成することができます(ただし、日当が別途発生します)。

 

公正証書遺言のデメリット

 

作成費用がかかる

自筆証書遺言の場合には、紙とペンとハンコさえあれば無料で作成できますが、公正証書遺言を作成する場合には、公証役場所定の手数料が必要となります。遺言の目的である財産の価額に応じて手数料が決められるため、遺産が多くなると、その分手数料も高額になります。

公正証書遺言作成の手数料
https://www.koshonin.gr.jp/business/b01/q01_3_007

 

2名以上の証人が必要

公正証書遺言を作成する際には、必ず2名以上の証人の立ち会いが必要になるため、この証人を確保しなければなりません。証人の確保は、想像するより大変です。というのも、推定相続人や受遺者(遺言によって財産をもらう人)などにあたる方は、証人にはなれませんので、ご家族を証人とすることができないケースが多いからです。また、証人を知人・友人に依頼すると、遺言の内容が知られてしまうので躊躇される方もいらっしゃいます。

どうしても証人が見つからない場合には、公証役場に紹介を依頼することもできます。ただし、その場合には、日当や交通費が発生します。

弁護士に遺言書の作成を依頼している場合には、証人を用意してくれるケースがほとんどです。また、弁護士が証人となる場合には、守秘義務を負っているため、遺言の内容を秘密にしたいという場合には有効です。

 

手続きの手間・負担がかかる

自筆証書遺言は、いつでも・どこでも作成可能ですが、公正証書遺言は、原則、公証役場に赴いて作成します。体が不自由で、出歩くのが困難という場合には、公証人に出張してもらうことも可能ですが、その場合には別途、日当が発生します。

 

おわりに

今回のコラムでは、代表的な遺言の方式である公正証書遺言について解説しましたが、いかがだったでしょうか。公正証書遺言は、自筆証書遺言と比べて、費用がかかったり、一定の手続きが必要であったりと、手間はかかりますが、安心・確実な遺言をのこす手段として優れていると言えます。実際、当事務所に遺言作成を依頼される方のほとんどが公正証書遺言の形式になります。

当事務所では、公正証書遺言の作成、相続対策だけでなく、相続発生後の、遺産分割、遺産整理など、相続に関する相談を広く受けております。相談は初回無料となっておりますので、相続に関することでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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