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相続コラム

第7回相続コラム 弁護士が解説する話題の民事信託とその注意点


近年注目を集めている民事信託。従来の相続に関する手法では実現困難な相続のカタチを実現できる手法として注目を集めています。柔軟に自身の死後の財産を管理したり、また認知症対策の一環としても利用できる便利な手法です。今後、不定期ですが、この民事信託について解説していきたいと思います。

 

民事信託とは

まず民事信託、いわゆる家族信託とは、自分の持っている不動産・預貯金などの資産を家族などの信頼できる人に託して、その管理と処分を任せる財産管理手法の一種です。読んで字のごとく“信じて”財産などを“託す”ので信託といいます。

例えば、ご自身の妻が認知症を患っており、「自分の死後に妻が安心して暮らせるように財産を残したい」と考えた場合に、そのまま遺言などで財産を妻に残しても、認知症の程度にもよりますが、残された財産を適切に管理することが難しい場合もあり、結果、財産をただ残すだけでは安心できないこともあります。民事信託を利用し、財産を子に全て託し、その管理を任せ、その財産の中から妻の生活費を工面するなどの信託契約を結んでおけば、先ほどの懸念事項を消すことができます。

家族信託は、自らの財産を柔軟な形で活用、承継をさせることができる便利なツールの一つとなっています。また、家族信託という手法を使うことにより、自分の家族や子供たちなどの次世代に自分の思いを伝えることができます。

 

民事信託(家族信託)は信託契約で成立します

家族信託は、委託者(財産の所有者)と受託者(財産の管理・処分などを託された人)の2者間で契約して、この二人の合意(通常は公正証書によって契約)によって、成立します。信託契約により利益を受ける人を受益者とよびますが、実際に信託契約を結ぶのは、委託者と受託者です。

先ほどの例ですと、委託者が財産を残そうとする夫であり、受託者がその子となります。受益者は妻となります。

信託契約は委託者と受託者の二者で契約ができます。しかし、この二人だけで契約を成立させてしまうことが直ちに良いことかどうかとは別問題です。

 

他の家族・関係者との関係も民事信託では重要

 

他の家族と話をしていること

仮に、子供の一人だけに財産を渡すような内容の家族信託をしようとする場合、財産をもらう子供以外の子供から見ると、単に財産を独り占めするために信託を使用したと思われ、自身の権利を主張され、紛争や争いのある相続に発展する可能性があります。

可能なら、どういった理由で、どういった想いで、どういった内容で財産を残すのか、託すのか、他の家族ともしっかり話しておくことがより良い家族信託の活用となります。

 

他の関係者に対して

さらに、例えば、住宅ローンが残っている不動産や担保権が設定されている不動産を金融機関との承諾なしに、信託してしまうと、名義が受託者に移転してしまうことなどから、期限の利益喪失してしまい、一括返済を求められたりと、場合によっては、予想外の事態が発生する場合もあります。

家族信託の活用にあたっては、家族、関係者などに事前に話し合い、了承をもらった上で、進めていく必要があります。

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