相続が発生し、最終的な遺産の分配内容を定めるために遺産分割協議を行いますが、せっかく合意した遺産分割協議書の内容を守らない人がでてきた場合にどうしたらいいのでしょうか。今回のコラムでは、遺産分割協議の内容を内容を守らない人がいる場合の対処法について解説したいと思います。
遺産分割協議自体をやり直すのは難しい
遺産分割協議により、一度合意が成立した場合に、その協議で決まった内容を守らない人がいたとしても、それを理由に遺産分割協議書を白紙に戻すことはできません。
協議内容の不履行(しないこと)を理由に解除(白紙にもどすこと)を認めてしまうと、一度成立した法律関係が全てなかったことになってしまうため、法的安定性が著しく害され、それを前提に関与した第三者の利益が害される危険性があるからです。
しかし、協議内容の不履行を理由として一方的な解除は認められませんが、相続人全員が合意し、新たに遺産分割協議をやり直すことは認められます。ただ、遺産分割協議書の内容を守らない相続人が、新たな協議に参加し合意するのかという問題は残ります。
遺産分割協議書を守らない人への対処法
遺産分割協議書を白紙戻すことは難しい以上、定められた内容を守るよう粘り強く働きかけていくことになります。
当事者同士の話し合いで解決しない場合には、遺産分割後の紛争調整の調停を家庭裁判所に申し立てることになります。
家族・親族間の争いについては、いきなり裁判で争う前に、調停という場が設けられることがあります。調停は、裁判とは異なり、調停委員という第三者の仲介のもとに当事者間の話し合いを行い解決を図るものです。第三者を介することによって感情的な対立を避け冷静な話し合いの場を設けるという趣旨の制度です。
調停での話し合いでも解決ができなかった場合には、裁判で遺産分割協議書で定められた内容を実現するように請求していくことになります。
ただ、裁判で請求し、実現できる内容には限界があるので注意が必要です。
例えば、特定の遺産の相続を条件に、老親の面倒を見るという約束した相続人が、老親の面倒を見ないといった場合に、裁判で面倒を見ることを強制することはできません。そのような場合には、老親の生活費・扶養料や介護等にかかる費用を請求するということになります。
遺産分割協議書の内容を守らない人がいる場合には弁護士に相談
遺産分割協議書の内容を守らない人がいる場合には、内容を実現するよう働きかけることになりますが、交渉を相続問題に強い弁護士に依頼することによって話し合いが進むケースがあります。また、万が一、調停や裁判となった場合にもスムーズに手続きを進めることが可能となります。
当事務所では、相続問題に強い弁護士が、初回無料にて相談を受けておりますので、遺産分割協議の内容の実現についてお困りの方はお気軽にご相談ください。また、そのようなトラブルを未然に防止するために、遺産分割協議の取りまとめや遺産分割協議書の作成のご依頼も受けております。