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相続コラム

第43回相続コラム 遺産分割協議で考慮すべき特別受益とは

最終的な遺産の帰属を相続人間で確定させる遺産分割協議。遺産分割協議では、いかに相続人間で公平に遺産を分配するか、ということが大切になります。今回のコラムでは、遺産分割協議の際に、考慮すべき特別受益について解説したいと思います。

 

特別受益とは

特別受益とは、相続人が被相続人(亡くなった方)から受けた特別な利益のことをいいます。例えば、「故人の生前に住宅購入資金としてお金を受け取った」、「遺言によって多額の財産を譲り受けた」などです。

このような特別受益を受けた相続人がいる場合に、法定相続分通りに遺産を分配すると、不公平な結果となってしまうことがあります。例えば、相続分が同じ割合の相続人同士でそのまま遺産分割をすると、一方の相続人は特別受益+相続分を受け取り、他方の相続人が受け取るのは自分の相続分のみということになり、不公平な結果になってしまいます。

そこで、法律では、特別受益を受けた相続人(特別受益者)がいる場合に、相続人間の公平な遺産分割を実現するために、特別な規定を設け、相続財産を計算する際に特別受益分を考慮するように定めています。

具体的には、相続財産を計算する際に、実際に残されていた遺産と特別受益分を合算した上で、各相続人の相続分を計算するように定められています。

 

特別受益の具体的計算例

父が亡くなり、その相続人は、長男と長女の2人だったとします。
長男は、父の生前に、住宅購入資金として1,000万円の贈与を受けていたとします。
父が亡くなった際の遺産は、2,000万円とします。

特別受益を考慮せずに、遺産を分配すると、長男と長女は、同一順位の相続人であるため、それぞれ1/2ずつの相続分を有するため、遺産の1/2の1,000万円ずつ相続することになります。

すると、長男は、父から生前に受けた住宅購入資金の1,000万円+遺産1,000万円=合計2,000万円の財産を受け取ることになり、1,000万円しか遺産を受け取ることのできない長女から見れば不公平な結果となってしまいます。

特別受益を考慮し、遺産を計算すると、まず遺産に特別受益分を合算し、合算した相続財産を法定相続分に従って分配します。

遺産2,000万円+特別受益1,000万円=3,000万円の相続財産

それを法定相続分に従って分配すると、長男も長女もそれぞれ1/2の1,500万円受け取ることになります。

長男は既に特別受益として1,000万円の贈与を受けているため、実際に遺産からもらえる額は、残りの500万円となります。長女は、遺産から1,500万円受け取ることになります。

民法第903条1項
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

 

特別受益にあたるもの

相続人が被相続人から受けた利益が特別受益と判断されると、その利益を相続財産に含めて計算(いわゆる「持ち戻し」)することになりますが、被相続人から何らかの利益を受ければそれが全て特別受益になるわけではなく、あくまで「特別な」受益でなければ、遺産分割の際に再計算する「持ち戻し」は発生しません。

特別受益の代表的なものは以下のようなものになります。

 

遺贈

遺言によって財産を譲り受けた場合は特別受益と判断されます。「相続させる」旨の遺言であったとしても、特定の財産を譲り渡す内容であれば、特別受益と判断されます。

 

結婚や養子縁組の際に贈与

結婚や養子縁組の際に、「持参金」、「支度金」などの名目で特別に財産を譲り受けた場合には、特別受益と判断されます。結婚の際の挙式費用などは、特別受益にあたらないと判断されることが多いですが、特別豪華な挙式などの場合には、特別受益と判断されるケースもあります。

 

生計の資本として贈与

マイホームの購入資金や事業資金の援助を受けた場合などは特別受益にあたります。生活費などを多少援助してもらったとしても、それが家族間の通常の扶養範囲のものであれば、特別受益とは判断されません。

 

学費

一般的に、普通教育以上の高等教育を受けるための学費は特別受益となります。但し被相続人の生前の資力、生活レベル、社会的地位などで、その家庭の通常の教育の範囲内なら特別受益にあたりません。また他の共同相続人も同様の教育環境の場合は当然特別受益にはあたりません。

例えば、私立の医学部に進学するための学費というのは、一般的に特別受益と考えられますが、医者の家系に生まれ、兄弟皆医学部に進学しているというような家庭であれば、それは特別受益とは判断されません。

 

遺産分割で悩んだら弁護士に相談

特別受益については、「何が特別であるか」の判断に、専門的な知識が必要となり、また、場合によっては、「持ち戻し免除の意思表示があった」かどうかで争いになるケースも少なくありません。

特別受益や遺産分割協議でお困りの事やお悩みがある場合には、後の争いを防ぐためにも、専門の弁護士に相談することをおすすめします。

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