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相続コラム

第109回相続コラム 代襲相続、数次相続、再転相続、混同しがちな相続用語をまとめて解説

相続に関する制度・用語には、一般の方には馴染みの薄いものが多く、また、代襲相続、数次相続、再転相続など、よく似ていて混同しがち用語も少なくありません。今回のコラムでは、 代襲相続、数次相続、再転相続について、それぞれの用語の異同を含めて解説したいと思います。

 

代襲相続とは

代襲相続とは、被相続人が死亡した時点において、本来相続人となるはずであった者が既に死亡するなどしていた場合に、その者の子などが代わって相続する制度のことをいいます。

例えば、被相続人が亡くなった際に、本来、その相続人となるはずであった被相続人の子が既に亡くなっていたような場合に、孫が子に変わって相続するというのが代襲相続です。

今回のコラムで解説する用語の中では、最もポピュラーな用語とも言え、また、実務上も、よく登場する重要な用語・制度です。

詳しい解説は、「第36回相続コラム 孫や甥・姪が相続人になる代襲相続とは」をご覧ください。

 

数次相続とは

数次相続とは、相続が発生し、その相続を承認したものの、具体的にどのように遺産を分割するか、その話し合いが未了の間に、さらに相続が発生した場合のことを言います。

例えば、ある夫婦の夫が亡くなり、その相続人として、妻と子がいたが、夫の相続について承認はしたものの、遺産分割協議が未了の状態で、妻も亡くなってしまったというケースが、数次相続のケースとなります。

近年、社会問題となっている所有者不明土地問題は、この数次相続が何代にも渡って発生した結果、相続財産を構成していた土地の相続人がねずみ算式に増加するなどして、誰が不動産の所有者なのか正確に把握するのが困難になってしまったことが要因とも言われています。

代襲相続と数次相続との違いは、代襲相続は、本来相続人となるべき者が、被相続人が亡くなる前に既に亡くなっているケースなのに対して、数次相続の場合には、順次相続が発生し、複数回相続が発生するケースとなります。

つまり、例えば、同じ祖父の遺産を孫が相続したというケースでも、代襲相続の場合には、本来、父が相続すべきだった遺産を、孫が父の代わりに(代襲)して相続するため、発生している相続は一度です。それに対して、祖父が亡くなり、その遺産を父が相続し、遺産分割が未了の間に、父が亡くなり、その父の遺産を孫が相続したというのが数次相続のケースであり、発生している相続は複数になります。

 

再転相続とは

代襲相続とよく似たものとして、再転相続というものがあります。

再転相続とは、相続が発生し(一次相続が発生)、その相続についての熟慮期間中に相続の承認または放棄を行う前に相続人が亡くなり、次の相続(二次相続)が発生したケースを指します。簡単に言うと、一次相続の熟慮期間中に次の相続が発生したケースと言えます。

相続の放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」にすべきとされており、その期間を熟慮期間と言います。熟慮期間内であれば、相続を放棄をすることが可能なため、熟慮期間中は、その相続について、承認されるかどうかが未確定な状態となります。

そのような一次相続について未確定な状態でさらに相続が発生したケースが、再転相続ということです。

例えば、ある夫婦の夫が亡くなり、その相続人として妻と子がいたとします。夫の相続について、遺産分割協議どころか、そもそも相続の承認するか放棄するか決める前に、妻が夫の死後1ヶ月後に亡くなったというようなケースが、再転相続のケースとなります。

再転相続は、数次相続とよく似ていますが、数次相続は、一次相続について、相続を承認することが確定しているのに対して、再転相続は、一次相続について、承認するか放棄するかを選択する前に、熟慮期間中に相続がさらに発生しているケースとなります。

つまり、再転相続のケースでは、一次相続および二次相続について、それぞれ承認するか放棄するかを相続人は選択することが可能となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、 代襲相続、数次相続、再転相続について、それぞれの用語の異同を含めて解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続に関する制度・用語には、一般の方には馴染みの薄いものが多く、また、代襲相続、数次相続、再転相続など、よく似ていて混同しがち用語も少なくありません。複雑で面倒な相続のことで、悩んだ場合には、専門家に相談することをおすすめします。

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