前回のコラムで、代襲相続、数次相続、再転相続など、よく似ていて混同しがち相続用語・制度について解説しました。今回のコラムでは、それらと似ている相次相続(控除)という制度について解説したいと思います。
相次相続控除とは
相次相続控除とは、一次相続の発生後、10年以内に二次相続が発生した場合に、相続税の控除が受けられる制度のことをいいます。
短期間のうちに、何度も相続が発生(相次いで相続が発生)すると、同じ相続財産について何度も課税されるような格好となり、税負担が過度に重くなってしまうおそれがあります。
そこで、一定の要件の下、控除枠を設け、税負担の軽減を図るべく相次相続控除という制度が設けられているのです。
例えば、祖父が亡くなり、その遺産として、先祖代々の土地と家を、その子である父が相続したとします。その際に、相続した父は相続税を納付しました。そのわずか2年後に、父も亡くなり、その子である孫が、父の遺産である先祖代々の土地と家を相続したとします。相続が発生した以上、一定の要件の下、相続税が課せられることになるのが原則ですが、相続財産を構成する『先祖代々の土地と家』については、2年前に相続税が課せられたばかりです。また新たに相続税を通常通り課税するのでは、税負担が過度に重くなってしまうため、孫の税負担を軽くするために、控除を認めたのが相次相続控除ということになります。
相次相続控除の要件
相次相続控除を受けるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
1.控除の適用を受ける人が被相続人の相続人であること
2.前回の相続開始から今回の相続開始まで10年以内であること
3.前回の相続で相続税を支払っていること
1の要件について、「相続人ではないのに、遺産を取得するようなことがあるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、例えば、相続放棄をした人や欠格・廃除等によって相続権を失った人でも、遺言による贈与等をうければ、遺産を取得することが可能です。そのような場合には、相次相続控除は受けられないということです。
相次相続控除によって、どのくらい税金が控除されるのかについては、具体的な計算式は複雑なので割愛しますが、前回の相続開始から次の相続が開始するまでの年数が短ければ短いほど、控除される額が大きくなります。
具体的な計算式を知りたい方は下記参考サイトをご覧ください。
国税庁:タックスアンサー
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4168.htm
おわりに
前回のコラムでは、代襲相続、数次相続、再転相続など、よく似ていて混同しがち相続用語・制度について解説し、今回のコラムでは、それらと似ている相次相続(控除)という制度について解説しました。前回のコラムで解説した用語・制度は、相続法上の概念となりますが、今回のコラムで解説した相次相続控除は、相続税法上の制度となります。相続という場面では、様々な制度が絡み合い、複雑で混同しがちなため、コラムを2回に分けて掲載しました。
相続に関する制度は、複雑で難解なものも少なくないため、相続に関することで悩んだら、専門家に相談することをおすすめします。
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