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相続コラム

第125回相続コラム 配偶者目線で見る相続税-配偶者控除について

相続が発生すると、遺産分割や相続登記など、様々な手続きが必要となりますが、相続税の申告も気になるところです。今回のコラムでは、配偶者の視点で相続税、特に配偶者控除について解説してみたいと思います。

 

相続税の基本

 

基礎控除

相続が発生し、相続によって遺産を取得すると、相続税という税金が課せられます。

ただし、相続税には、基礎控除という、いわゆる非課税枠が設けられているため、遺産の総額から基礎控除額を引いた額に対して、相続税が課せられます。逆に言うと、基礎控除の額を超える遺産がなければ相続税は課せられないことになります。

 

基礎控除の計算式

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

基礎控除額は上記のような計算式で求められます。

例えば、夫が亡くなり、相続人として、妻と子2人がいるという場合には、
3,000万円+(600万円×3)=4,800万円が基礎控除額となります。

基礎控除額が4,800万円ということは、夫が残した遺産が4,800万円以下であれば、一切、相続税は課せられないということになります。

仮に、夫の遺産が、1億4,800万円であれば、基礎控除額を引いた1億円に対して、相続税が課せられることになります。

 

配偶者控除とは

配偶者控除とは、配偶者に認められた特別な控除枠のことをいいます。

相続という制度には、一家の大黒柱が亡くなった際に、残された家族が困窮しないように生活を保障するという側面があるため、故人の配偶者の生活を守るために特別な控除枠を設けているのです。

具体的には、配偶者の相続した遺産が、1億6,000万円以内もしくは法定相続分の範囲内であれば相続税は課税されないということになります。

 

1億6,000万円以内

例えば、夫が1億4,800万円の遺産を残して亡くなり、相続人として、妻と子2人がいたとします。
遺産総額から基礎控除額を引くと、1億円が課税対象になるはずですが、仮に全ての遺産を妻が相続したとすると、妻には配偶者控除として、1億6,000万円まで非課税とできますので、支払う相続税は0円となります。

 

法定相続分の範囲内

仮に妻が1億6,000万円以上の遺産を相続したとしても、それが法定相続分の範囲内であれば、妻には相続税は課せられません。

極端な話、夫が200億円の遺産を残して亡くなり、その相続人として、妻と子1人がおり、妻と子が法定相続分通り100億円の遺産を相続したとしても、妻には相続税は課せられません(子には相続税が課せられます)。

配偶者の相続分について詳しくは、
前回のコラム「第124回相続コラム 配偶者目線で見る法定相続分について」をご覧ください。

参考:国税庁タックスアンサー
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

 

配偶者控除の注意点

 

法律婚の配偶者のみ

配偶者控除を受けるためには、戸籍上の(法律婚の)配偶者である必要があります。いわゆる内縁関係・事実婚の配偶者は、配偶者控除を受けることはできないので注意が必要です。

 

相続税の申告期間内に遺産分割が完了

相続税の申告期間内(被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内)に、遺産分割を完了させている必要があります。遺産分割が完了していないということは、どの相続人が具体的にどのくらいの遺産を相続するのか未確定のままだからです。

 

相続税の申告をする

よくある間違いなのですが、「控除等の結果、相続税が0だから申告しなくてよい」と考える方がいらっしゃいますが、相続税の申告手続きを行われなければ、配偶者控除は受けられないので注意が必要です。

 

二次相続に注意する

配偶者控除には1億6,000万円という多額の控除枠があるため、配偶者の相続分を最大限まで多くすることが、有効な相続税対策と思われがちです。

たしかに、その時(一次相続)の相続だけを見れば、配偶者の遺産取得割合を大きくすれば、課せられる相続税を安くすることができます。

しかし、その配偶者も亡くなった場合(二次相続時)には、残された子が多額の相続税を支払わなければならなくなる危険性がありますので、二次相続を踏まえた相続税のシミュレーションが大切となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、配偶者の視点で相続税、特に配偶者控除について解説しましたが、いかがだったでしょうか。コラム中で挙げた例などは、事例を単純化しわかりやすさを重視していますが、実際の相続の場面では、何が課税される相続財産なのか、または、他に「みなし相続財産」はないのか等、検討すべき要素が多く、他の控除等も含めた複雑な計算・シミュレーションが必要になりますので、相続税に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

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