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相続コラム

第126回相続コラム 複数人のご家族が災害や事故に巻き込まれた場合に注意したい同時死亡の推定

複数人のご家族が災害や事故等に巻き込まれてしまった場合、その亡くなった時期の先後関係が不明なケースも多く、誰が誰の相続人となるのか、判断に迷う方も少なくありません。亡くなったご家族間の死亡時期の先後関係が不明な場合、誰が相続人となるかを特定するためには『同時死亡の推定』というものを理解する必要があります。今回のコラムでは、複数人のご家族が災害や事故に巻き込まれた場合に注意したい『同時死亡の推定』について解説したいと思います。

 

同時死亡の推定とは何か

複数人の者が、災害や事故等、何らかの原因により亡くなり、亡くなった者同士の死亡時期の先後が不明な場合、亡くなった時期を『同時』と考えるというルールが法律で定められております。

このルールを同時死亡の推定と呼びます。

例えば、妻と子が飛行機に乗って旅行に行く際、搭乗していた飛行機が墜落し、両者とも亡くなってしまったが、どちらが先に亡くなったのか不明という場合には、両者は『同時』に亡くなったと法律上考えます。

民法第32条の2
数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する

 

同時死亡の推定と相続

被相続人が亡くなり、その被相続人の相続人となるためには、被相続人が亡くなった時点において、相続人が生存している必要があります。

当たり前と言えば当たり前ですが、死人は相続人にはなれないということです。

同時死亡の推定が働く場合、同時に亡くなった者の間では、相互に相続は行われません。被相続人と同時に相続人が亡くなっている以上、被相続人が亡くなった時点において相続人が生存していないからです。

 

同時死亡の推定と相続の具体例

上の図のようなケースの場合、夫と子の死亡時期の先後関係が不明なので、両者には同時死亡の推定が及びます。そして、両者の相続人は誰となるかを考える際には、互いに各人がいないものとして考え、法定相続人および相続分を計算します。

同時死亡の推定を適用し、夫の相続についてみると、本来相続人となるはずであった子はいないものとして考えるため、第二順位の相続人である夫の両親と妻が相続人となり、その相続分は夫の両親がそれぞれ1/6、妻が2/3となります。

子の相続についてみると、その相続人は夫と妻(子から見た両親)となりますが、同時死亡の推定により夫はいないものとして計算するので、相続人は妻のみとなり、子の遺産を全て相続することになります。

 

死亡時期の先後と相続

死亡時期の先後によって、相続人が誰であるか変わったり、相続分が大きく変わることがあるため、実は、亡くなる順番というのは相続において重要な意味を持ちます。

例えば、仮に前述のケースで、事故に巻き込まれた夫は即死だったが、子は病院に搬送され、その後亡くなったという場合、死亡時期の先後が不明ではないので、『同時死亡の推定』の適用はなく、通常通り亡くなった順番=相続が発生した順番によって、相続人や相続分を考えることになります。

この場合、夫が亡くなった時点では、子は生存しているため、妻と子が夫の相続人となります。それぞれの相続分は、妻1/2、子1/2となります。そして、次いで亡くなった子の相続ですが、相続人は妻(子の母)のみということになり、子の遺産は全て妻が相続することになります。これは、結果的に、夫の遺産全てを妻が相続していることになり、同時死亡の推定が働くケースよりも、妻が取得する遺産が増加していることになります。

 

同時死亡の推定と反証

『同時死亡の推定』というルールは、亡くなった先後関係が不明な場合に、あくまで『推定』するというルールですので、仮に、後にどちらが先に亡くなったのか判明した場合や、先後関係を証明できる場合には、『推定』は覆すことができます。推定が覆えされた場合には、実際の順番通りに相続分を計算しなおすことができます。

少し専門的なお話しとなりますが、法律の条文上、『推定』すると規定されているものは、法律上の推定と呼ばれ、あくまで単に『推定』しているだけであり、反証によって覆すことを法律が認めています。それに対して、法律上、『みなす』と規定されている場合には、真実がどうであるかに関わらず、法律上、そうみなし、取り扱うという効力が発生し、それを反証によって覆すことは認められません。

 

おわりに

今回のコラムでは、複数人のご家族が災害や事故に巻き込まれた場合に注意したい『同時死亡の推定』について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

複数人のご家族が災害や事故に巻き込まれてしまうというケース自体は、非常に稀ではありますが、近年、自然災害等も頻発しており、絶対に起こらない話しではありません。ある意味、イレギュラーなケースほど、相続でもめたり、何らかの問題が発生しやすいとも言えますので、いざという時の備えとして、予め知識として知っておくことは有用です。

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