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相続コラム

第39回相続コラム 基本から学ぶ遺産分割の4つの方法

前回のコラムでは、遺産分割協議について解説しましたが、今回のコラムでは、具体的な遺産分割の方法について解説したいと思います。

 

遺産分割の4つの方法

遺産分割協議では、「誰がどの財産をどのくらい相続するのか」を相続人全員の協議によって決めることになるのですが、具体的に遺産の分け方としてどのような方法があるのでしょうか。

遺産分割の代表的な方法として、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4つの方法がありますので、それぞれ解説していきます。

 

現物分割

個々の遺産を、現物をそのままの形で相続人間で分けるのが現物分割という方法です。

例えば、「実家や土地などの不動産は妻、家業に関する財産は長男、その他の預金や有価証券は長女に」というように、各財産ごとに誰が相続するのかを決める方式です。

各相続人が納得できれば、非常にシンプルで分りやすいのですが、財産毎の価値は、通常バラバラで異なるため、遺産を公平に分配するということが難しくなります。

 

代償分割

代償分割とは、法定相続分を超える価値の財産を取得した相続人が、他の相続人に、本来取得すべき価値と実際に取得した価値との差額分を現金(「代償金」と呼ばれます)で支払う分割方法をいいます。

例えば、遺産として、2000万円相当の不動産と預金が1000万円あり、相続人は被相続人の子であるAさんとBさんであったとします。総遺産が3000万円であり、AさんもBさんも相続分は1/2ずつとなるので、それぞれ1500万円相当の遺産を相続することになります。

仮にAさんが不動産を相続すると、本来の遺産の取り分である1500万円を超えた2000万円相当の財産を相続することになってしまうので、差額分の500万円を現金でBさんに支払うというのが代償分割になります。

代償分割の方法を採ると、不動産のように物理的に分割するのが難しい財産を分けるのに適しており、また、相続人間の公平も図られます。

ただし、代償金を支払う資力が相続人にないと採用できない方式となります。また、代償金を支払う際に、例えば不動産の価値の評価方法で意見が食い違うなどの場合に、争いに発展する危険性があります。

不動産の価値の評価方法について詳しくは「第2回相続コラム 意外と知らない遺産分割における不動産価値の算定方法」をご覧ください。

 

換価分割

不動産や株式等の分けにくい財産を売却し、得られた現金を法定相続分などで分割する方式を換価分割といいます。
財産を現金化することによって、1円単位まで細かく分割可能となり、公平な遺産分割が実現可能となります。現物分割や代償分割の方法を選択するのが難しい場合に利用されることが多くなります。

不動産や株式は、売却時期などによって大きく値段が変動するため、必ずしも希望の額で売れるとは限らないし、また、売却にあたっては諸費用や譲渡所得税の負担がかかるというデメリットがあります。

 

共有分割

遺産の一部または全部を相続人間で共同所有するという分割方式を共有分割といいます。

例えば、遺産として、実家や土地などの不動産があり、それを相続人である兄弟で、それぞれ1/2ずつの持分で共有財産として相続するという方式です。

この共有分割の場合、上記の例のような場合に、実家をそのまま残すことが可能となり、公平な分配ができますが、共有状態というのは、ある意味「分割の先送り」のような形になるため、後の争いの火種を残す危険があります。例えば、共有者の一人がその実家に住むといった場合に、他の共有者が、共有持分の利用料として家賃を請求し、その額をめぐって争いが起きるなどのケースもあります。

また、後に不要になった実家を売却しようと思っても、共有財産である以上、共有者全員の協力が必要になり、後に手続き的負担が大きくなるケースもあります。

 

遺産分割の方法で迷ったら弁護士に相談

遺産分割の方法には、様々な方法があり、それぞれメリット・デメリットがありますので、分割しようとする遺産の種類に合わせて適切な方法を組み合わせていくことがポイントになります。また、遺産分割協議で争いにならないようにするためには、基本的なことではありますが、相続人間でよく話し合い、お互いが納得のできる公平な手段を模索することが大切になります。

多額の遺産がある場合や、不動産や有価証券など、価値の評価が難しい遺産がある場合には、専門家に相談するのもひとつの手段となります。

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