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相続コラム

第72回相続コラム 配偶者居住権の活用法について

前回のコラムでは、配偶者居住権という令和2年4月1日から施行された新しい制度について解説しました。比較的新しい制度なため、馴染みが薄く、「どう活用したらいいのかわかりづらい」という方のために、今回のコラムでは、具体的な活用法を解説したいと思います。

 

配偶者居住権についておさらい

配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった配偶者が所有していた建物に、一定の要件のもとに、終身または一定期間、無償で住み続けられる権利のことをいいます。

配偶者居住権の最大のポイントは、建物の価値(権利)を「自宅に住む権利(居住権)」と「それ以外の権利(所有権)」に分離し、居住権を配偶者に相続させ、所有権を他の相続人に相続させるというような柔軟な遺産分割を可能にした点にあります。

配偶者居住権について詳しくは
第71回相続コラム 令和2年4月1日施行の配偶者居住権について解説
をご覧下さい。

 

配偶者居住権の活用方法

 

遺産の大部分を自宅不動産が占める場合

前回のコラムでも解説した、典型的なケースです。

例えば、夫が亡くなり、相続人として、その妻と子がおり、自宅不動産が遺産の大部分を占めるというケースです。実際、不動産の価値は高く、遺産の大部分を占めるというケースが、相続の現場ではよく目にする光景です。

このようなケースで、遺産分割協議等によって、妻に配偶者居住権を設定し、子が自宅の所有権を相続すると、妻はそのまま亡き夫と暮らした自宅に住み続けることが可能となります。他方で、子も制限付きではありますが自宅の所有権を取得することが可能となり、その分の財産的価値を相続することができます。また、他の現預金等に関しても、相続人間で分けることができますので、妻は、自宅に住みつつ現預金も取得できることになり、当面の生活費の心配もなくなりますし、子も実家の所有権と現預金を取得することができます。

つまり、不動産の完全な所有権を取得するための代償金についての争いや、高額な不動産を相続した結果、生活費等を確保することが困難になるという状況を避けるために、配偶者居住権を活用することが期待されます。

 

自身の家系に先祖代々の家を受け継がせたい場合

Aさんには妻がいますが、Aさん夫婦の間には子がいません。Aさんの両親は既に他界していますが、弟がいるため、Aさんが亡くなると相続人は、妻と弟になります。Aさんは、自身の死後、妻が生活に困らないように、そのまま自宅に住み続けて欲しいと考えていますが、妻に自宅が不要になった際には、自宅は先祖代々受け継いできた家なため、弟に継いで欲しいと考えています。

上記のケースで、仮に、妻に自宅の所有権を遺言等で譲り渡すと、妻が亡くなった際には、妻の相続人が自宅を相続することになるため、妻の家系の者に先祖代々受け継いできた家が相続されてしまいます。逆に、完全な所有権を弟に譲り渡してしまうと、妻と弟の関係によっては、妻が自宅に住み続けることができなくなるおそれがあります。

このような場合に、配偶者居住権を活用した解決法があります。遺言で、妻には配偶者居住権を設定し、弟に自宅の所有権を相続させると、Aさんの希望通りに、妻はそのまま自宅に住み続けることが可能になり、また、妻が亡くなったり、自宅が不要になった際には、弟が完全な所有権を取得することになるため、自身の家系のものに家を継がせることができます。

 

相続税対策として活用

本来想定されている配偶者居住権の利用法とは異なりますが、上手に活用すると、節税効果が見込めます。

配偶者居住権が成立する場合には、建物の価値が「自宅に住む権利(居住権)」と「それ以外の権利(所有権)」に分離されるものの、結局は両者とも相続人に相続されるため、その相続(1次相続)だけみると、特に相続税の節約にはなりません。むしろ、配偶者控除の大きさを考えると、1次相続時には、相続税が高くなるケースもありえます。

しかし、配偶者居住権を取得した者が亡くなった際(2次相続時)には、大きく節税効果が見込めます。

配偶者居住権は、配偶者に認められた特別な権利なため、配偶者が亡くなった際には、その配偶者居住権が相続されるということはなく、権利は権利者の死亡により消滅します。配偶者居住権が消滅するということは、配偶者居住権付き建物の所有者としては、利用権による制限がなくなり、完全な所有権を取得することになるため、いわば無償で配偶者居住権に相当する価値を取得したことになります。

配偶者居住権が消滅することによって得る価値については、原則として、相続税が課されないため、2次相続時の相続財産を減少させ、その分の節税効果が見込めることになるのです。

ただし、配偶者居住権は、権利者が亡くなった際には、権利が消滅し、その消滅による擬似的な価値の移転には相続税はかかりませんが、配偶者居住権を生前に放棄すると、その放棄は価値の譲渡とみなされ高額な贈与税が適用されますので注意が必要です。

相続税法基本通達9―13の2
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/06.htm#a-9_13_2

 

相続税対策として、配偶者居住権を活用する際には、2次相続を踏まえたシミュレーションが必要となり、高度な専門的判断が必要とされるため、税理士などの専門家に相談することをオススメします。

 

おわりに

今回のコラムでは、様々な配偶者居住権の活用法を解説しましたが、いかがだったでしょうか。配偶者居住権は、遺産分割の際に、柔軟な分割を可能とする反面、一般の方には難解な制度なため、上手に活用するためには、弁護士などの専門家に相談するのがオススメです。

当事務所では、広く相続や遺産分割に関する相談を受けております。遺産分割協議に難航している場合に、配偶者居住権を活用することで、円満な解決に導けるケースも少なくありません。相談料は、初回無料となっておりますので、相続・遺産分割でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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