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相続コラム

第97回相続コラム 相続放棄後の管理義務と空き家問題

前回のコラムでは、相続放棄後の管理義務と、それが令和5年4月1日施行の改正法によって、どのように変わるのかについて解説しました。今回のコラムでは、相続放棄後の管理義務と、近年、問題となっている空き家問題に関連して、管理義務は誰に対する責任なのかについて解説したいと思います。

 

相続財産の管理義務おさらい

相続放棄をすると、相続人という地位から解放され、故人が残した借金等を背負うことがなくなり、その放棄をした相続人から見れば、いわば借金等が“消えてなくなる”ような格好になります。しかし、故人が住んでいた住宅や家財道具などが、相続放棄によって物理的に消えてなくなるわけではないので、それをそのまま放置するというわけにもいきません。

そこで、法律では、相続放棄後の管理義務というものを設け、一定の要件の下に、相続放棄をした元相続人に、相続財産の管理を継続するよう定めているのです。これが、相続放棄後の管理義務と呼ばれるものです。(法改正後は、「管理義務」から「保存義務」へ名称が変更。)

相続放棄後の管理義務について詳しくは
前回のコラム「第96回相続コラム 令和5年4月1日から変わる相続放棄後の相続財産の管理義務について」をご覧ください。

 

相続放棄と空き家問題

現行法上、相続放棄後の管理義務は誰が負うのか、必ずしも明らかではない点もあり、また、管理義務の終期も不明瞭であったため、管理者が曖昧となっていき、結果として、放置された空き家が増加するというケースが散見しました。

そんな中、自治体が、相続財産の管理義務を根拠に、空き家や空き地の管理を、相続放棄をした元相続人に追求するケースも見られ、相続財産の管理義務は、後に相続人となる後順位者等に対してのみ負う責任なのか、それとも近隣住民や自治体等も含めた広く第三者に対しても負う責任なのかが問題となります。

 

相続財産の管理義務は誰に対して負うのか

相続財産の管理義務は誰に対して負う責任なのか、実際に裁判になったケースは見当たりませんので、どちらが本当の正解なのかは現段階では不明です。

ただ、国土交通省が出した通達によると、相続財産の管理義務は、対相続人間の義務であり、近隣住民や自治体等の第三者との関係で負う義務ではないとされています。

国土交通省通達
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001486650.pdf

令和5年4月1日施行の改正法によって、相続財産の管理義務について、名称が変更され「保存義務」となりますが、名称が変わっても、対第三者責任ではないことに変わりはないと思われます。

 

土地工作物の占有者責任には注意

相続財産の管理義務が対第三者責任ではないとしても、土地工作物の占有者責任が一切問われないということではないので、放棄者が占有している財産の管理には注意が必要です。

例えば、今にも倒壊しそうな建物について、相続放棄後に管理義務を負っている元相続人は、管理義務は対第三者責任ではないため、相続財産の管理義務を根拠に自治体や近隣住民から倒壊防止等の措置を強制されることはありません。ただし、放棄者に占有が認められる建物が、倒壊等によって、実際に近隣住民等に被害を及ぼし、土地工作物の占有者責任を定めた民法717条の要件を満たす場合には、同法に定める責任として損害の賠償を請求される危険性はあります。その意味では、一般第三者に対しても、ある程度の管理責任が要求される場合があると言えます。

民法717条1項
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続放棄後の管理義務と、近年、問題となっている空き家問題に関連して、管理義務は誰に対する責任なのかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。内容的には、少し難しいテーマでしたが、少子高齢化が進む中、全国で空き家が増加していることからすると、決して他人事ではありません。

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