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相続コラム

第65回相続コラム 相続放棄と債権者への対応について解説

相続放棄は、基本的には、被相続人に多額の借金等の負債があり、それを免れるために利用するというのが主なケースかと思います。今回のコラムでは、実際に、多額の借金を相続しないために相続放棄をする場合に、債権者(お金を貸している人)への対応をどのようにすればよいのか解説したいと思います。

 

相続発生後、相続放棄前の債権者への対応

債権者としては、債務者である被相続人から債権(借金)を取り立てることができなくなると、その相続人から回収するよう動くのが通常です。

相続発生後、相続放棄前に債権者から請求書や督促状が届いた場合、重要となるのが、それに応じて支払ってはいけないということです。

もし、債権者の求めに応じて、借金等の支払に応じてしまうと、「相続人として借金を相続する意思がある」と法律上判断されてしまい、最悪、相続放棄をすることができなくなってしまいます(これを単純承認といいます)。ですので、相続放棄をする場合には、相続放棄をする旨、または、相続放棄手続き中である旨を告げ、債権者からの支払の求めには応じないことが大切です。

ごく稀ではありますが、相続財産から支払を受けようとしたり、相続放棄をしないよう説得してくる債権者もいます。しかし、相続財産からの支払は、単純承認となってしまう危険性がありますし、相続するか否かは相続人の自由な意思で決定すべき事項ですので、他人が強制することはできません。

執拗に支払を求められたり、相続放棄しないよう迫ってくる債権者がいる場合には、弁護士に相談することをオススメします。

 

相続放棄後の債権者への対応

相続放棄をしたとしても、家庭裁判所から債権者に通知があったり、なんらかの公告がなされるわけではありませんので、債権者は、相続人が相続放棄をしたという事実を知らないのが通常です。

ですので、相続放棄後にも、債権者から請求書や督促状が送られてくることがあります。

そのような場合には、債権者に「相続放棄受理通知書のコピー」や「相続放棄受理証明書」を送付することで、自身が相続放棄したことを示し、請求を拒むことができます。

 

相続放棄受理通知書と相続放棄受理証明書

 

相続放棄受理通知書

相続放棄受理通知書とは、家庭裁判所から、相続放棄をした者に対して、相続放棄が受理されたことを通知する書面です。この書面は、相続放棄の手続きを行うと、自動的に本人に送付されますが、1通しか届きませんので、原本を債権者などに送付しないように注意が必要です。誰かに送付する必要がある場合には、必ずコピーを送りましょう。また、後述する「相続放棄受理証明書」の交付を申請する際には、申請する相続放棄申述事件の「事件番号」が必要となり、その事件番号が通知書には記載されていますので、大切に保管しましょう。

 

相続放棄受理証明書

相続放棄受理証明書は、相続放棄が受理されたことを証明する書面で、家庭裁判所で発行してもらうことができます。こちらは、申請しないと交付されませんが、交付手数料さえ支払えば、何通でも取得することが可能です。通常、相続放棄後の各種手続きでは、こちらを利用します。

 

相続放棄の際に、債権者の対応で悩んだら弁護士へ相談

相続放棄をされる前に、誤った対応をすることで、単純承認により相続放棄ができなくなったり、また、相続放棄が受理された後でも、場合によっては、債権者がその有効性を争い、債権を請求してくる可能性もあります。

相続放棄に関することで悩んだり、困ったことがある場合には、相続問題に強い弁護士に相談するのが安全であり、解決の近道となります。

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