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相続コラム

第99回相続コラム 改正により加算期間が7年に延長される暦年課税

昨年末に令和5年度税制改正大綱が発表され、相続に関する税制についても、いくつか制度が改正される見通しとなりました。前回のコラムでは、相続時精算課税制度とその改正点について解説しましたが、今回のコラムでは、それと関連して暦年課税の改正について解説したいと思います。

 

そもそも暦年課税とは

暦年課税とは、贈与税の課税方式のひとつで、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に贈与された財産の合計額に応じて課税される方式のことをいいます。

相続税対策として、生前贈与を行う際に、相続時精算課税制度を利用しない場合には、原則として、この暦年課税という課税方式により税金が課せられます。

つまり、簡単に言うと、暦年課税という課税方式が“通常の贈与税の課税方式”と言うことです。

相続時精算課税制度を利用する場合には、「相続時精算課税選択届出書」という届出が必要であり、また、適用条件も満たす必要があります。

相続時精算課税制度について詳しくは
前回のコラム「第98回相続コラム 改正により相続時精算課税制度に110万円の基礎控除枠が追加」をご覧ください。

 

相続税対策としての暦年課税

暦年課税という通常の贈与税の課税方式では、1人当たり年間110万円の基礎控除額があります。
つまり、基礎控除額内の贈与であれば、贈与税がかかりませんし、申告の必要もありません。

この年間110万円という基礎控除額を利用して、毎年、贈与税が課税されない範囲で贈与を行い、相続財産を減らすという手法が、相続税対策として利用されることがあります。

相続時精算課税の特別控除枠2,500万円と比較すると、110万円は少額にも見えますが、コツコツと長年かけて生前贈与を行うと、将来の相続税を大幅に節約することが可能であり、手法としても毎年贈与するというシンプルなものなため、相続税対策の中でも比較的取り組みやすいものと言えます。

 

相続財産への加算期間とその延長

暦年課税の基礎控除額を利用した相続税対策は、シンプルで活用しやすいものなのですが、全ての生前贈与が、この暦年課税の対象になるわけではありません。

贈与者が亡くなった日から3年前までの贈与については、相続財産へ持ち戻す=相続財産へ加算されるという決まりがあります。つまり、相続開始から3年前までの贈与=加算期間内の贈与は、相続財産に加算され、相続税の課税対象になるということです。

贈与した金額が年間110万円以下で、基礎控除の範囲内であったとしても、加算期間内の贈与であれば、相続税の課税対象になります。

現在、この加算期間は3年なのですが、2024年以降の贈与については、加算期間が7年と大幅に延長されることになります。加算期間が延長されると、亡くなる前の3年間に贈与された財産の扱いはこれまでと同様に、そのまま相続財産に加算されます。それより前の4年間に贈与された分については、その期間の贈与財産全体から100万円を差し引いた金額が相続財産に加算されることになります。

わかりやすく図に示すと以下の図のようになります。

 

まとめ
■暦年贈与には加算期間というものがある
■加算期間内の贈与は、相続財産として扱い、相続税が課税される
■加算期間は3年から7年に延長に延長される
■延長4年間の贈与については総額100万円まで相続財産に加算されない

 

おわりに

今回のコラムでは、暦年贈与とその改正点について解説しましたがいかがだったでしょうか。相続税対策を考える際には、暦年贈与だけではなく、前回解説した相続時精算課税制度についても比較検討し、どちらの方式が適しているのか、または、他の手段を検討すべきなのかシミュレーションすることが重要です。

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