相続の問題を考える際に、相続人が誰なのかを確定することは基本中の基本となります。今回のコラムでは、相続人が誰であるかを確定する際に重要となる代襲相続はどこまで続くのか、再代襲相続について解説したいと思います。
そもそも代襲相続とは
代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、本来相続人となるはずの者が、被相続人が亡くなる前に死亡していたり、相続人たる権利を喪失していた場合に、本来相続人になるはずの者の子がその者に代わって相続することをいいます。
例えば、祖父の遺産を子が相続するはずであったが、祖父が亡くなる前に既にその子は亡くなっていたため、その子の子である孫が祖父の遺産を相続する、というのが代襲相続になります。
代襲相続は、被相続人が亡くなる前に相続人が亡くなっている場合の他、相続欠格や相続人の廃除により相続人たる資格を失っている場合にも、発生します。
相続欠格について詳しくは
「第22回相続コラム 相続権を失ってしまう相続欠格とは何か?相続人の廃除との違いについても解説」をご覧ください。
相続人の廃除について詳しくは
「第21回相続コラム 財産を渡したくない相手がいる場合に相続権を奪う相続人の廃除とはどんな制度か」をご覧ください。
再代襲相続とは
再代襲相続とは、本来相続人となるはずの者だけではなく、その代襲相続人も、被相続人が亡くなる前に死亡していたり、相続人たる権利を喪失していた場合に、代襲相続人になるはずの者の子がその者に代わって相続することをいいます。
事例を簡略化して、簡単に表現すると、子の子が相続人となるのが代襲相続で、子の子のさらに子が相続人となるのが再代襲相続というわけです。
具体的には、曽祖父の遺産を相続するはずであった子も孫も、曽祖父が亡くなる前に既に亡くなっているという場合、すなわち、相続人も代襲相続人も既に亡くなっているという場合に、ひ孫が曽祖父の遺産を相続するというのが再代襲相続になります。
代襲相続はどこまで続くのか
代襲相続はどこまで続くのか、言い換えると、再代襲相続はどこまで適用されるのでしょうか。
再代襲相続は、被相続人の直系卑属であれば、何世代後であっても適用があります。現実に存在するかは別として、例えば、ひ孫の子である玄孫(やしゃご)が再々代襲相続したり、玄孫の子である来孫(らいそん)が、さらに再々々代襲相続するということも、法律上は可能です。
再代襲相続は、被相続人の直系卑属が相続人の場合には、永遠にどこまでも適用されますが、被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合には、代襲相続は発生しますが、再代襲相続は発生しませんので注意が必要です。
例えば、被相続人が亡くなり、その法定相続人が兄弟姉妹であった場合に、その兄弟姉妹が被相続人が亡くなる前に既に他界しているという場合、代襲相続によって、甥や姪が相続人となります。しかし、その甥や姪も亡くなっているという場合には、再代襲相続の適用はありませんので、甥や姪の子が相続人になることはありません。
おわりに
今回のコラムでは、相続人が誰であるかを確定する際に重要となる代襲相続はどこまで続くのか、再代襲相続について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
代襲相続は兄弟姉妹・甥姪などの傍系血族にも適用がありますが、再代襲相続については、直系卑属のみに適用があるというのが、ポイントとなります。そして、直系卑属であれば、何代後の世代であっても再代襲相続は可能です。
相続に関する用語や制度は、一般の方には馴染みが薄く、難解のものが少なくないのですが、ひとつひとつ理解することで、より相続のことを身近に感じ、相続対策等に役立て頂けたら幸いです。
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