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相続コラム

第120回相続コラム 相続手続きで必要となる戸籍謄本・除籍謄本について解説

戸籍謄本や除籍謄本は、被相続人が亡くなったという事実確認や、相続人が誰であるか確定するために必要となるため、相続手続きを進めるためには、ほぼ必須となります。戸籍謄本は、相続手続き以外でも利用されることも多く、利用したことのある方も多いのではないでしょうか。それと比べると、馴染みの薄いのが除籍謄本。今回のコラムでは、戸籍謄本や除籍謄本について、まとめて解説したいと思います。

 

戸籍とは何か

戸籍とは、日本人が、出生してから死亡するまでの身分関係(出生・婚姻・離婚・死亡・養子縁組など)を登録・公証する仕組みのことをいいます。また、登録内容が記載された公簿そのものを指すこともあります。

戸籍は、戸籍法という法律に基く届出により記録され、原則として1組の夫婦、および、その夫婦と同じ氏の未婚の子どもを単位として編製され、本籍地の市区町村役場に、公簿として保管されています。

日本人であれば、出生により両親の戸籍に登録され(出生届)、婚姻や離婚等によって別の戸籍に移ったりすることはあるものの(婚姻届や離婚届)、亡くなるまで何らかの形で戸籍に登録されていることになるのが通常です。

戸籍に登録されている方が亡くなると、その戸籍から抜けることになりますが、これを除籍といいます。(婚姻等で元の戸籍から抜ける場合も、広い意味では除籍といえます。)

 

戸籍謄本とは何か

戸籍は、身分関係を公証するための記録簿ですが、実際に利用する際に、役所に保管されている記録簿そのもの(原本)を利用するわけにはいきません。

ですので、実際に利用する際には、役所に保管されている原本の写し・コピー、すなわち謄本を発行してもらい、それを各種手続きで利用することになります。

簡単に言うと、戸籍簿のコピーが戸籍謄本ということです。

少し専門的なお話しにはなりますが、戸籍謄本は、オリジナルの戸籍簿の“写し”ではありますが、単なるコピーではありません。役所で発行された正式は謄本には、法令上の権限のある者が職務上の権限に基いて作成したものである旨を認証した認証文言というものが記載されているため(「認証のある謄本」)、単なるコピーとは異なり、正式な法律上の証明力を有します。

つまり、「戸籍謄本を提出してください」と言われた場合、役所で発行された謄本を提出するのが基本であって、「謄本自体がそもそもコピーなんだから、発行された謄本をコピーしたって同じなんじゃないか」とはならないということです。謄本をコピーすると、謄本に記載されている認証文言についてもコピーになってしまうからです。

 

除籍謄本とは

戸籍内の全員が、死亡や失踪宣告により除籍されたり、婚姻や離婚によって戸籍から抜けると、その戸籍内には誰も存在しなくなりますので、そのような戸籍は戸籍簿から除かれ、別に綴られることになります。その戸籍簿から除かれ、別に綴ったものが除籍簿とよばれ、除籍簿の謄本が、除籍謄本になります。

 

戸籍謄本or除籍謄本

ある戸籍に夫婦とその子が登録されており、夫が亡くなったとします。その夫が亡くなった事実を証明するためには、戸籍謄本と除籍謄本のどちらが必要となるのでしょうか。

仮に、妻は既に他界しており、また、子も婚姻によって、他の戸籍に移っていた場合、夫が登録されていた戸籍には、その夫が亡くなったことにより、誰も存在しないことになるため、戸籍は除籍簿に移されます。ですので、夫が亡くなっていることを証明するためには、除籍謄本が必要になります。

上記のケースで、妻が亡くなっていない場合や子がそのまま戸籍に残っている場合には、夫が登録されていた戸籍には、まだ登録者が存在し、全員が抜けてしまった戸籍ではないため、除籍簿には移りません。ですので、除籍謄本ではなく、戸籍謄本を取得することが可能で、その戸籍謄本をもって、夫の死亡の事実を証明することができます(戸籍謄本に、死亡による除籍である旨の記載がある)。

 

おわりに

今回のコラムでは、戸籍謄本や除籍謄本について、まとめて解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続に関する手続きを進める際には、戸籍謄本・除籍謄本は、ほぼ必須となりますので、しっかりと違いを理解し、正しい書面で手続きをスムーズに進めたいところです。

相続の手続きを進めて行く中で、被相続人の戸籍を出生まで遡って集めたり、相続人全員の戸籍を集めるのに苦労される方も少なくありません。戸籍制度は何度か改正されており、利用されているシステムの移行などもあり、古い戸籍を遡って揃えるにはそれなりにノウハウが必要であったりもするからです。

相続という重要な場面で、安全・確実に手続きを進めるために、多くの手続きで必須となる戸籍謄本集めで失敗しないためには専門家に依頼するという手段もあります。

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