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相続コラム

第34回相続コラム 義理の親の介護が報われる特別寄与料という制度について

前回のコラムでは、寄与分について解説しました。寄与分の主張は、相続人であることを前提に、相続分を貢献度に応じて増加させるというものでした。今回のコラムでは、相続人ではないものが、主張できる特別寄与料という比較的新しい制度について解説したいと思います。

 

寄与分とは(前回のおさらい)

遺産は、遺言がなければ、法律に定められた割合(法定相続分)で相続人に分配されることになります。しかし、法定相続分でそのまま分配すると、不公平な結果になったり、不満がでてくるケースがあります。

例えば、長女が、長年病気の母親を献身的に療養看護してきたにも関わらず、介護等を何もしてこなかった次女と相続分が同じというのでは、いくらお金のために介護していたわけではないとはいえ、苦労が報われず不満に思うのが心情です。

そこで、法は、ある相続人が、被相続人に対して、療養介護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合において、この相続人の貢献を相続分に反映させ、他の相続人より多くの遺産を相続できるように特別な制度を設けました。それが寄与分という制度でした。

 

特別寄与料が創設された背景

寄与分は、相続人であることを前提に、その貢献度に応じて、相続分を増加させる制度です。言い換えると、いくら故人に献身的に尽くしてきたとしても、相続人でなければ寄与分を主張することはできません。

例えば、療養介護に長年従事していたのは、長男の妻であったというような場合、いくら献身的に義理の親の介護を行ってきたとしても、義理の親の相続人にはなれないので、遺言等がなければ遺産を一切受け取ることはできません。

仮に、介護されていた義理の両親が亡くなった際に、その子である長男が存命であれば、実際には妻が行ってきた介護を、長男が行ってきた貢献とみなし、長男の相続分を増やし、長男を経由して、妻の貢献に報いるという対応も可能であり、実際、そのような対応をするケースが多く見られました。また、子がいる場合にも、子は被相続人から見ると孫にあたり、代襲相続が可能なため、類似の対応が可能となります。

しかし、長男が既に他界しており、また、その妻には子もいないとなると、上記のような対応もできず、長年義理の親の介護に努めてきた長男の妻は、一切その苦労が報われない結果となってしまいます。

そのような不公平な結果を避けるために、2019年に施行された改正相続法では、特別寄与料という制度を設け、療養看護等で遺産の維持・増加に貢献した相続人以外の親族に、相続人に対して寄与に応じた金銭を請求できる権利を与えることとしました。

この新しい特別寄与料という制度の最大のポイントは、相続人以外の親族が主張できるという点です。上記の例のような、義理の親の介護を行ってきた長男の妻という立場のものが、特別寄与料を主張することにより、その貢献度に応じた金銭を、相続人に請求できることになります。

 

特別寄与料の請求方法

寄与料の請求は、介護等をしてきた寄与者が、相続人に直接請求することになります。

具体的に特別寄与料がいくらになるかは、当事者間で、寄与の程度や期間、遺産の総額などを考慮し、話し合いで決めることになりますが、一般的には、介護報酬基準額等を参考にして、日当額を決め、「第三者の日当額 × 療養看護日数 × 裁量割合(0.7~0.8程度)」というような計算式により算出されます。

裁量割合を掛けて金額を調整するのは、介護報酬基準額は介護のプロ基準の額であり、しかも、全くの赤の他人を介護した際の金額なので、それをそのまま適用するのではなく、裁量割合により減額調整を行うのが通常です。

仮に話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に審判を申し立てることになるのですが、この申立ては、寄与者が被相続人の死亡及び相続人を知ってから6ヶ月以内か、被相続人の死亡を知らない場合でも死亡時から1年以内に行わなければならないので注意が必要です。

この特別寄与料は、あくまで相続人ではない「親族」に認められた権利ですので、親族ではない者、例えば仕事として介護を行うヘルパーさん等は権利行使することはできません。また、親族であっても、有償で介護を行っていた場合には、その場合は既に対価を受け取っているので、特別寄与料の請求はできませんので注意が必要です。

 

特別寄与料の請求でお困りの場合には弁護士に相談

特別寄与料という制度は、比較的新しい制度なため、世間の認知が低く、請求された相続人が主張を受け入れてくれなかったり、また、その額の判断に法律的・専門的知識が要求されるケースもあります。また、実際に主張する相手が、義理の兄弟姉妹等であることも多く、もともと疎遠であったり、療養介護をめぐって争った経緯があるなどの場合には、金銭の請求を躊躇することも多いのではないでしょうか。そのような場合には、法律の専門家である弁護士にご相談ください。

当事務所では、長年相続問題に携わってきた、相続に強い弁護士が、長年の療養介護に報いる報酬を請求するお手伝いをさせていただきます。特別寄与料でお困りの方は、初回無料にて相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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